第61回
世界自然遺産・屋久島
「屋久島は月のうち、35日は雨」と書いた、
林芙美子の小説「浮雲」の映画(森雅之、高峰秀子主演)、
を、懐かしく、BS放送で観ました。
一昨年の8月のこと、
その屋久島での講演会の開催が危ぶまれました。
例年になく、台風が連続して襲来し、
波が高いと船が欠航になります。
お隣の種子島(タネガシマ)から50名の参加予定者がいました。
「その日だけ無風快晴」を強くイメージして、
山崎は鹿児島に向い、乗り換えて屋久島空港。
期待通りの快晴でした。
空港に迎えてくれたのが、
墨痕鮮やか「歓迎・山崎先生・ようこそ屋久島へ」の横断幕でした。
感動した山崎は、女性部長のAさんに、
「ここに日付とあなたのお名前を書いて私に下さい」
と頼みました。
日付は平成16・8・24ですから、まだ2年になりませんね。
いまも大切に事務所の一角に張ってあります。
90分の講演のあと、種子島からの参加者と山崎のために、
歓迎会を開いてくださいました。
これがなんと、夕暮れからの「流れ船」。
安房川の河口で「流れ船」に揺られて、
夏の宵を楽しむという屋久島ならでは、のおもてなしでした。
地元焼酎に程よく酔い、嬉しく楽しいひと時でした。
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流れ舟 (日下田紀三さん撮影)
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Aさんからお便りが届きました。
「私たち女性部にとりまして、忘れられない、
貴重な一日となりました。
部員の皆さんに、せんせいを呼んでくれてありがとうと、
嬉しそうに何度も言われた、あの時ほど、
人との出会いの喜びを感じたことはありません」
この屋久島といい、このたびのヨロン島といい、
島の人たちには何かがありました。
世の人々が、失いつつある、大切なもの、懐かしいものが、
ここに残されている。
これこそが、引き継ぐべき「世界遺産」ではないのか、
と思いました。
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屋久島での講演会
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