第85回
盲導犬・休息の時間
出席者の半数は視覚障害者、案内役の盲導犬は
2時間の会議中気持ちよさそうに、軽い寝息を立てています。
この会議、発言の前には「○○です」と名前を名乗るのがルール。
資料は、盲人用の点字と晴眼者用の墨字の2種類、
ボランティアとして日本点字図書館に25年、
理事・評議員の中で、最古参になってしまいましたが、
出席するたびに教えられることが多いのです。
隣席の盲人評議員Hさんから
「カメラ付き携帯は便利ですね」と話しかけられました。
「盲人の目の代わりをするのですよ」
「はあ?」と山崎。
「お陰でコンビニの買い物はひとりで行けるようになりました」
使い方を説明されて
「うーん、それは開発者も考えなかったことでしょう。
盲人にとって、大きな福音ですね。」
Hさんは次週のNHK・福祉の時間に出演され、
ビックリの話を披露されました。
録音図書製作のAさんからは、ご苦労話を聞きました。
視覚では簡単に読める文字をどう伝えるかで思い悩みます。
「創造」と「想像」が入り混じった本の場合、
これをどう読み分けようか、朗読奉仕者と話し合った。
クリエイティブの「創造」は「ソウゾウ」と読み、
イメージの「想像」は「ソウゾウ・おもう」と
軽く言葉添えすることにしました。
「灯りの下」は
「アカリノシタ」か「モト」か、迷うことが多いです。
また、Aさんは阪神大震災の避難所での貴重な体験も。
食べ物にも不自由しているとき、ひとりの視覚障害者から、
「何でもいいから本を読んでもらえると嬉しい」といわれて、
戸惑ったこと、そして、本を読み上げながら、
温かい時間を共有した喜び、貴重な体験を聞かせて下さいました。
「生きることが大変だからこそ、読書を欲する人がここにいる」
と、Aさんは、その鮮烈な想いを語って下さいました。
中でも、忘れられぬ場面があります。
その日、杖にすがり、遠路出席された小林勇さん(岩波書店会長)
「私は長い間出版の仕事に携わって参りましたが、
私のアタマに、盲人の存在が欠けていました。
申しわけありません」絶句されました。
見ると、ハラハラと涙されているのです。
小林勇さん、最晩年の姿でした。
この日本点字図書館のホームページで検索したら、
Qさん本は点字では「国富論」など5件、
録音では「女の国籍」など8件出てきました。
少なすぎます。
情報提供を怠った山崎の責任です。
Qさんの貴重な著作・最新情報を、
目のご不自由な方にも、たくさんお届けしたいと思います。
明日、8月10日は図書館トップ研修会の講師として90分。
いま準備中ですが、山崎も勉強です。
Qさんも、
「話すことは学ぶことです」とよくおっしゃいますね。
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