新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第9回
反日デモ発端の現場にいました

2005年の4月2日、
成都は相変わらず曇りでしたが、
いつもと変わらない平和な週末のはずでした。

週末はオフィスが休みなので、
私はスタッフと共にお店のビラを
近所の商店などに配って歩いていました。
そろそろ帰るかなと思った時、
幹部スタッフから私の携帯に電話があり、
「春熙路(中心部の歩行者天国)で、
ちょっとした騒ぎが起こっているから今は戻らない方がいい」
との連絡を受けました。
言葉もいまひとつ良くわかりませんし、
来るなといわれれば行きたくなるのが人間の性です。
早速タクシーを拾い、春熙路へ向かいました。

そこで見た光景に言葉を失いました。
ものすごい数の人々が
春熙路にあるイトーヨーカ堂を取り囲み、
「伊藤関面!(ヨーカ堂閉めろ!)」
とシュプレヒコールを上げています。
その数、少なくとも5千人はいたように見えました。
その後、数十人の暴徒と化した人々が
一斉に缶や石や立て看板などを
ヨーカ堂目掛けて投げ出しました。
なんの前情報も無かったので、
正直かなりショックだった事を憶えています。

この事件が発端となり、
その後中国の各地で反日デモ・暴動が起こったことは
周知の通りです。
しかし、この日成都で起こったこの事件が、
まさかこれ程大きな出来事に発展するなど、
当時は誰一人として予想できなかったのではないでしょうか。
事実、北京のスタッフから
「何だか成都は大変だね!大丈夫?」なんて、
冷やかしの電話をもらっていたほどです。

実際に中国で仕事をしていて、
反日でいやな目にあうことは、
私個人はほとんど経験がありません。
事実、翌日に出社した時も、私だけ妙に気構えていただけで、
会社もスタッフもお客様も
普段と何ら変わりありませんでした。
ただ、今思えば私は
ある意味で歴史的な出来事が起こった、
まさにその現場にいた数少ない日本人であったのだな、
と感慨深いものがあります。


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2007年3月17日(土)

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