新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第16回
戸籍で違う社会保障

中国にも日本とほぼ同じ目的で、
医療保険(健康保険)、
養老保険(企業年金)、
失業保険などの社会保障制度があります。
日本と事情が違うところとしましては、
戸籍によって受けられる保障サービスが違うことです。

北京市の例でいきますと、
出産保険は北京市戸籍を有する対象者は加入できますが、
有さない者は加入できません。
また、養老保険も掛け金の限度が大幅に異なります。
簡単に言いますと、
北京で働く場合、
北京市の戸籍を有する者と有さない者とでは
享受できるサービスの差が大きいのです。

以前、会社の弱みを無くす為に、
全社員の保険を強制的に購入する旨を書した通知を出しました。
給与の少ない店員などは自己負担分を嫌い、
保険の加入を嫌がる傾向にありますが、
密告等で足元をすくわれて
多額の罰金を関係省庁から取られるような事態だけは
避けたいために実行しました。

通知の内容としては、
「北京市戸籍の社員は以下の保険に必ず入ること。
それ以外の戸籍の社員は以下の保険に必ず入ること。」
といった内容のものです。
当然ながら、先にも申しました通り、
北京市戸籍の社員の購入保険の種類は
多く記載されることになります。

通知を出した直後、
大連出身の店長が顔を真っ赤にして事務所に入ってきました。
入ってくるなり
「こんな不公平な話しがありますか!
北京人も他の社員と同等の保険にすべきです!」
と声を荒げます。
私もすかさず
「文句があるんだったら、政府にいってくれ!
会社が決めたんじゃない」
と返します。
店長もしばらくブツブツ言っていましたが、
諦めた様子で売場へ戻っていきました。

正直なところ、北京人と他の地方の人々の間には、
埋めれない溝があることは間違いないです。
酒の席ではそれがかなり露骨に出てきて、
「おい北京人!東北人の俺と白酒で勝負をしろ!」
とライバル心むき出しになります。

なんとか仲良くしてほしいものです。


←前回記事へ

2007年4月3日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ