新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第36回
年末の給与面談はもうしません

できる限りの努力をして
“公明正大”な企業組織を作り上げたい。
この思いは今日でも全く揺るぎない理想の1つです。
しかし、こと人事考課及び給与面談については、
あまり“公明正大”の旗印を掲げず
臨機応変に、または目的を明確にせずに臨機応変に行なう方が、
中国には合っているのかも知れません。

私も最近までは、日本企業が一般に取り入れているように、
“期末での自己評価並びに上司による今期の採点、
それらの資料を元に来期の給与を試算し、社員と個別面談をする”
という方法を取っていました。
しかしまず意味がないのが自己評価。
5段階評価で自己評価を付けさせたのですが、
半数近くがオール5。
平均も4.8と何の参考にもなりません。
見れば見るほどイライラしてくるだけです。

極めつけは個人面談です。
すでにこの面談が来期の給与と大きく関係があると
社員に認知されている状況下では、
ことは一筋縄では行きません。
まず交渉の時間です。
当初は1人当たり15分以内を目処にしていましたが、
とんでもない誤算です。
たった2人の面接に
午前中すべてを費やしてしまった日も有りました。
とにかく、よくしゃべるのです。
とまりません。
もはや個別面談が、
完全に給与の交渉の場となってしまっていたのです。

第33回でも書きましたが
“言わなきゃ損をする”という考え方が、
中国には根強くあります。
また“誰の給与がいくら上がったのか?”が、
よくわからない状況では、
自身に提示された新たな給与が妥当な額かどうかも
判断できなかったのでしょう。
涙あり、怒りあり、笑いなしの良いことなんて1つもない
散々な面談になってしまいました。

以後、面談は何の前触れも期日の取り決めもせず、
思いつきのように行うようにしました。
また、給与面でも事前の告知を止め、
一斉のハイ!で変更するようにしました。
不満のある人は、個別にその旨を伝えれば済みますし、
意外なことにその数も驚くほど少ないのです。
この方法をとるようになってからは、
人間関係まで良くなったように感じるのは
私の気のせいなのでしょうか?


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2007年5月19日(土)

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