新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第44回
金払いの悪い中国式ビジネス

中国に赴任してから現在まで、
4社の引継を行なった経験があります。
臨時的であった1社を除き、
3社の引継については非常に苦労しました。
前任者はすべて台湾出身のマネージャーです。
台湾人の大陸におけるビジネスの理解度は、
当然ながら日本人を圧倒していますし、
大陸の人々とそれこそ互角、時にはそれ以上に渡り合っています。
例えば中国ビジネスにおいて
売掛金の回収が難しいことは有名です。

私が驚いたのは、
前任のマネージャー達の未払い金(未解決金?)の多さです。
そうです。
中国全体、金払いが極端に悪い仕組みでまわっているのです。
自分達だけ金払いが良かったら
すぐに会社は潰れてしまいます。

引継を終えて間もなくすると、
次から次に業者がやってきます。
中には帳簿に載っていない
買掛けの支払いを求めてやってくる業者もいますが、
多くは契約書や納品書を持ってきます。
困った私は、その度に前任者へ確認の電話をするのですが
「それは払う必要はない!」の一点張りです。
よくよく理由を聞くと、
支払わない理由は一応それぞれありました。
例えば、内装で使用した材料が
指定の物と違ったので変更を依頼したが、
未だに変更されていないので、
その材料を使用した箇所を変更するまで払う必要がない。
広告の内容に間違いがあったので、
当方の損失を考慮して被害額を支払いから相殺などなど、
日本人の私から見ると
“ちょっとその理由でそれは苦しいんじゃないかなぁ”
と思うのですが、そこがまだまだ甘いのかもしれません。

中国でビジネスをする経営者に求められる資質として、
重要なのが適正価格を見出す金銭感覚です。
すでに契約をしていても少しでも高いことに途中で気が付くと、
諦めずに支払いの値引き交渉を持ち込んできます。
一般的には一気に払ったりはしません。
本当に、少しずつ少しずつ払っていくのです。
そうやって騙されていないか時間を掛けてチェックし、
リスクを最小限にするのです。
どうも中国ではこれができないと、
儲けさせてはくれないようです。
しかし、私はどうしても
この後出しジャンケン的な交渉が苦手です。
時間もズルズルと浪費しますし、精神的にも疲れます。
それができないと“良いカモ”になるだけかもしれませんが、
そうはならないように
事前交渉に他の人の数倍の労力をかけるようにしています。
それで上手くいくのか、
結果がでるにはもうしばらく時間が掛かりそうです。


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2007年6月7日(木)

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