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          第63回 
          諦めた時に終わります 
        「諦めた時にすでに勝負はついていた」 
          「経営者が諦めた時、倒産は決まった」 
          などなど、 
          “諦める=駄目になる”ことを示した言葉はたくさんあります。 
          最近の私は、 
          この言葉を骨身に沁みて感じる機会が多くありました。 
        諦めて倒産してしまった訳ではありません。 
          一生がかかった大きな事柄でも、 
          意に介す必要もない小さなことでも同じで、 
          “なぜ駄目になったのか。なぜ悪くなったのか” 
          をよくよく考えてみると 
          すべての原因は諦めていたことにあったと気が付いたのです。 
          言い訳をさせてもらえるならば、 
          別に各々の問題を投げ出して 
          “諦めた”訳ではありませんでした。 
          ようやく気が付いたのですが 
          “黙認=諦め” 
          “なかなか実行に移せない=諦め” 
          であることを認めたくなかっただけで、 
          心のどこかでは諦めていたのです。 
        中国にいると、 
          気が付かないうちに諦めてしまっていることが多くあります。 
          例えば、何度言っても納期を守らない業者や 
          勤務態度が改まらない社員に対して 
          「中国だから仕方ない」と注意する事も億劫になるのです。 
          言葉を変えると、物事の許容範囲が大きく広がってしまい、 
          自身の感性が大きく狂ってしまったとも言えます。 
          この症状にかかってしまう日本人は多いはずです。 
          “中国だからしょうがない” 
          という言葉が呪文のように頭にはびこってしまい、 
          結果として何事に対しても 
          “諦め”が先行してしまう病にかかってしまうのです。 
          この病も他の病気と一緒で、早めの治療が肝心です。 
          放っておくと、 
          何事にも無気力、無関心といった最悪の状態になってしまいます。 
          こうなってからでは、 
          もはや飲み会で元気づける程度では改善できません。 
        私は新たにやってくる日本人スタッフに、 
          まず以下のことをやってもらうようにしています。 
          “自分が改善したいと感じたことや思ったこと、 
          何でもよいから可能な限り書いて提出すること” 
          この時に提出してもらった文章を、 
          ときどき本人を交えて読み返すことにしています。 
          時には初心に帰る! 
          これが諦めてしまう病にかからないようにする、 
          かなり有効な予防法です。 
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