新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第71回
道徳心に欠けても頭が良ければ尊敬される?

三国志で人気があるのは、
日本では劉備玄徳か諸葛亮孔明といったところでしょうか。
しかし、中国では断トツで曹操です。
原因は日本での“三国志”と
中国での“三国志演義”における物語の捉え方の違いも
あるかと思いますが、
一番は民族性による解釈の違いではないでしょうか。

以前、邱先生が私たち日本人スタッフに、
中国人と日本人の
国民性の違いを説明してくださったことがあります。
その時に邱先生が用いた三国志演義のある一場面をご紹介します。

“曹操は、自軍の兵糧が間もなく底をつくとの報告を
食料担当将軍からもらった。
曹操は食料担当将軍へ
「米配給の枡を小さいものに変えて誤魔化せ」
と命じた。
この不正はほどなくバレ、
全軍から不満の声が大きくあがった。
曹操は食料担当将軍を呼びつけ、
皆の前で
「こいつが食料を誤魔化して、もう我々には食料がない。
ほしければ敵を打ち負かして手に入れるしかない」
と叫び、
この食料担当将軍に自軍の不満の矛先を全部押し付け、
ついには打ち首にした。
生死が掛かった曹操軍は火事場のクソ力を出して、
敵軍を打ち破った”
簡単にまとめると大体こんな話だったと思います。

この物語を聞いた大部分の日本人は
“うあ、曹操って最低だな。そこまでして勝ちたいか”
と思うのではないでしょうか。
ところが中国人は違います。
“なんて頭がいいんだ!
自分達の弱点を武器に変えるとは!曹操は本当に天才だ!”
となります。
どちらが正しいという議論はさておき、
物事の捉え方がまるで違うのです。

この邱先生の話を思い出す出来事が先月ありました。
ニュース等でご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
当社のある北京市朝陽区で肉まん偽装事件が発生しました。
この偽装事件、
日本で騒がれているミートホープ社どころの偽装ではありません。
肉まん用の餡に6対4の割合で、
薬品で溶かしたダンボールを使用していたのです。
しかも6割がダンボールで4割が肉です。
信じられません。
当然、社内でもこの話題で持ちきりになりました。
“俺は間違いなく食べてるよ”と皆が騒いでいるなか、
信じ難い言葉が耳に入ってきました。
“しかし、あの精肉屋の社長は頭がいいよな!
よくそんなことを思いついたよ”
皆も、その意見に否定的でなく、笑って同調しています。
道徳心が欠けていても、
頭が良ければ評価されるのか!?
(これを頭がいいと呼ぶのかも微妙ですが)
ちょっと戸惑った一日でした。

※後日この報道はテレビ局のやらせであったと判明しましたが、
  やらせ報道自体がでっち上げ?という意見も
  中国内では根強く聞かれます。


←前回記事へ

2007年8月9日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ