新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第74回
感謝の気持ちを忘れない中国人

昨年の暮れ、北京の三全公寓に
一風変わった風貌の40歳前後の中国人が
邱先生に会いたいと訪ねてきました。
フロントから電話をもらった秘書の上田尾君は、
取りあえず用件を聞きにロビーに向かいました。

「邱先生がこのマンションにいると聞いて訪ねてきました。
どうしても邱先生にお会いしたいのですが、、、
曹ヤンと言っていただければわかると思います。」

上田尾君が東京にいた邱先生に確認をしたところ、
邱先生もしばらくして思い出されたようです。
次回、邱先生が北京入りされる時に会うことになりました。
それからひと月ほど経ったある日、
私は出張中で不在でしたが
邱先生と曹ヤンさんとの対面が実現しました。
曹ヤンさんは、邱先生を見た途端号泣し、
邱先生に何度も何度もお礼の言葉を言っていたと聞きました。

この曹ヤンさん、十数年前、
まだまだ無名の駆け出しの画家だった頃、
邱先生と奥様に出会い、大変お世話になったとのこと。
ツテを頼って東京までやってきたものの、
当時の曹ヤンさんの生活は大変厳しいものだったようです。
その様な時、ふとしたことから個展で邱先生と奥様に見出され、
生活費援助のため定期的に絵を買ってもらえるようになり、
なんとか苦難を乗り越える事ができたそうです。
その後、曹ヤンさんはアメリカへ渡り、
テロのあったニューヨークで
9.11を題材にした消防士の絵が大絶賛され、
一気に売れっ子画家の仲間入りを成し遂げました。
ついには北京にも
自前のアトリエと立派な展示場まで持つまでになり、
まさしく大金持ちになったのでした。

私が曹ヤンさんと初めて会ったのは、
邱先生の奥様が1月に北京に来られた時でした。
奥様を見た途端
「奥様!曹ヤンです!」と言ってグッと抱きしめ、
後は止め処なく涙が出ていました。
画廊で色々と話をした後、一緒に食事をしたのですが、
その時も泣きっぱなしでした。
感謝の言葉を述べるたびに
白酒をひとりで一気飲みしていましたので、
最後の方は酔いも手伝ってものすごい号泣になってしまいました。

邱先生も奥様も少々困ってらっしゃっるように見えましたが、
皆、この曹ヤンさんの
感謝を忘れない気持ちに心を打たれました。
日本人ではなかなか少ないですが、
ストレートに“感謝”の気持ち、感情を表すのも
素晴らしいものだと思いました。


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2007年8月16日(木)

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