新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第87回
ある香港人社長との出会い

現在、北京のとある有名ベーカリーチェーンのパンの一部を
当社からOEM(委託生産)供給させていただいています。
きっかけは、先方の秘書より
「当社の総経理がおたくの商品に非常に興味があるので、
一度会いませんか?」
という申し出があったことでした。

社名を聞いて耳を疑いました。
なぜなら、その会社はいつもクリスマスや月餅など
祭事時に各大手スーパーや百貨店での期間限定の出店に際して、
当社ともかなりの確率でバッティングする
ライバルであったことと、
なにより当社より社歴も古く、
中国10傑作菓子屋にも選出される有名店で
規模もくらべものになりませんでした。

早速、当社の新工場に総経理と副総経理が来て、
原材料の管理状況から出荷体制までチェックをされ、
その場で「すばらしい、すぐに取引をしましょう!」
という話になり、
数日後に、今度は我々が先方を訪ねることになりました。

訪問当日、先方の店舗案内もそこそこに
総経理の自宅に夕食を兼ねての打ち合わせに招かれました。
自宅があるマンションは北京でも有名な高級マンションで、
地下には温水プールからフィットネスクラブ、
専用テニスコートなどなど、
三全公寓のような
外国人専用マンションとまではいかないまでも、
まさしく成功者のみが住むことを許されるレベルの
マンションでした。

30何階かでエレベーターが停まり、
総経理の後を付いていき、自宅へとたどり着きました。
チャイムを鳴らすと総経理の奥様が玄関の扉を開け
「どうぞどうぞ」とスリッパを出しながら、
部屋へ招きいれてくれました。

その時です。
子供達が「daddy!」と叫んで走ってきました。
総経理が「good boy!」といって抱き上げ
「今日はお客さんが来ているから、
お前たちはあっちの部屋でテレビでも見ていなさい」
と英語で子供たちに指示しました。
一緒にいた当社の中国人スタッフ2人と日本人シェフも私も
その光景に驚きました。
そこで初めてわかりました。
この総経理は香港人だったのです。
普通語がちょっと変わった発音だったので、
北の人ではないということはわかりましたが、
香港人だったとは気が付きませんでした。

ダイニングテーブルについた早々、
ワインクーラーに入れてあった冷やしたシャンパンを開け
「乾杯!」、
ちょっと変わったディナーが始まったのでした。


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2007年9月15日(土)

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