第15回
政府直系の中国人寿保険が「強い」からくり

平安保険が2004年6月を目処に、
香港市場にH株形式で上場する予定です。
業績も好調ですし、
金融機関としての信用格付けでも、
いつも中国のトップクラスにランクインしています。
今年のIPOの目玉の一つとして注目したいところです。

ただし、だから「中国人寿保険は平安保険に劣る」
といえるかどうか、これは難しい問題です。
前回お話したからくりの一端をご説明します。

中国人寿保険(2628)は
上場前の2003年6月30日付けで、
親会社の100%出資という形で設立され、
親会社の優良な資産のみを引き継いで上場しました。

親会社である中国人寿保険(集団)は、
巨額の逆ざやを抱え、債務超過の状態でした。
中国人寿保険の上場直前決算は、
この親会社の財務状況を反映しているため、
ひどいものになってしまうわけです。

以上のように、通常の目で見れば、
平安保険の方が有利に見えますし、
実際に上場すれば、
平安保険の方が株価としても高くつき、
伸びていく可能性もあります。

しかし、通常、自己資本(純資産)で
マイナスとなっていて上場などできるわけがなく、
会社経営としても破綻しているといえる
中国人寿保険が、
優良資産をかき集めて分社化したとはいえ、
2003年中に株式の公開を実現し、
現在までに順調に推移しています。
これが中国の現実であるといえます。

中国人寿保険は中国政府直系の
三大保険会社の一角であり、
最右翼でもあります。
ここに政府が力を入れないわけはありません。
有形無形の政府からの協力があるのは
間違いないでしょう。
現在の中国において、
政府の後ろ盾があるかどうか、
その力の入れようで
会社経営の条件が大きく変わります。

一方の平安保険は、
世界の名だたる金融機関を株主に迎え入れながら、
基本的には深セン市政府系の保険会社です。
中国人寿保険と平安保険は、
中央政府と地方政府というように、
後ろ盾が違うことも気をつけるべきです。

こうしてみてくると、
2003年の早い段階から、
2003年中に上場するのではないかと
見られていた平安保険ですが、
2003年後半になると、
急に平安保険の株式上場に関する
報道がなくなり、
国有三大保険の上場を優先させた
こともよく分かる話ではないでしょうか?

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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