第250回
高官発言解釈:元切り上げは数年後になるか

2004年10月の
7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)への
中国初参加と人民元切り上げ議論では、
G7の開催をはさむように、H株指数が上昇しました。
今回も、1月24日に終値で4545.55ポイントをつけ、
若干の調整は入ったとはいえ、
少なくとも再度の上昇傾向に入りつつあります。
G7終了後に迎えた2月7日の週は、
前回の初参加のときの反省を踏まえて
慎重になる可能性も大きいですが、
上昇していくことも考えられます。

ただし、以前からも指摘していますが、
人民元の切り上げは、現在の中国に総じて不利です。
もちろん有利な部分は当然あります。
株価も上がる可能性が高いでしょうが、
より視野を広げたとき、
中国経済が変調することも十分に考えられるのです。
一時の株価の上昇よりも、
将来的には、より大きなマイナスになって
返ってくることさえあります。

そのため、今回のG7後、
引き続き、市場観測としては
人民元切り上げに対する期待が高まる可能性もあり、
実際として、レートを小幅に調整するということは
ありえないことではないですが
(それでも今年年間を通じて、という意味で)、
急激に元が切り上がるということは
まず考えられません。
もしかすると、観測が高まれば、
前回と同様、中国政府が自ら、
それを冷ますコメントを発表する
というシナリオも考えられます。

中国の資本市場改革におけるキーパーソンとして、
04年から注目され始めたのが、
国務院の黄菊副首相です。
現在の党内序列としては、
胡錦涛氏(国家主席・党総書記)を筆頭に、
温家宝氏(首相)が第3位で、
黄氏は第6位になっています。
現在の中央執行部は9人体制ですから、
必ずしも上位の人ではありませんが、
上海市長からの中央入りで、
「経済の分かる人」として、
その発言に重みを増してきています。
その黄氏は、今回のG7開催前に、
「人民元レート制度の改革は、
 経済の構造改革及び銀行システム改革の二の次だ」
とはっきりと発言しています。

国有企業を中心とした経済の構造改革と
国有銀行の株式上場を見据えた銀行改革の後、
ということになれば、
常識的に考えて、中国政府は現在、
人民元の為替レートの調整は、数年後のこと、
ととらえていることになります。

日銀に相当する中国人民銀行の周小川総裁は、
「他国から圧力に屈する形で、政策変更はありえない」
とも発言、
温家宝首相が以前コメントした内容そのままを、
中央銀行の総裁が使用し始めていることにも
注目すべきです。

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2005年2月8日(火)

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