第487回
WTO承諾、「06年金融開放」が中国にもたらすもの

以前まで、中国現地でも
「金融(銀行業など)の開放」が本当に行われれば、
現地金融機関は外資の大挙参入によって
壊滅的な打撃を受ける、
との可能性も指摘されていたことがあります。
ただし、よく考えれば分かることなのですが、
これが現実に起きることはありえません。

中国の金融資産の7割以上が
中国工商銀行、中国建設銀行、
中国銀行、中国農業銀行の
四大国有銀行に握られているとされています。
もし、金融市場を開放することで、
これら四大国有銀行に
問題が生じるようなことがあれば、
中国の金融市場そのものが
崩壊する可能性もあるわけです。

外資としても、中国の金融市場は
金の卵だと思うから進出するのであって、
自身の進出が、中国金融市場の崩壊、
あるいは国有四大銀行や
その他有力金融機関のシェア低減に伴う
市場の混乱に直結するような方法を
講じるわけがないということです。

事実として、外資はすでに
「06年金融開放」を見据えて、
積極的に中国に展開していますが、
その際、最も注目されている方法は、
現地の金融機関に対する資本参加という形態です。
この方法を選ぶことは、
つまり、外資は現地の金融機関と協力して、
あるいは直接間接問わず育成して、
金の卵である中国金融市場を
開拓していく意思の表れであり、
これを中国現地でも好意的な目でみられています。
また、この方法であれば、
単独で事業を展開するよりも
格段にリスクを押さえることが可能です。

日本ではまだ一般に
あまり認知はされていないようですが、
「06年金融開放」は、
06年の中国を考える上では、
外資の中国金融市場における
勢力争いもさることながら、
中国の銀行改革の帰趨を考える上でも
非常に重要なテーマです。

なぜ、日本では
あまり認知されていないのか、といえば、
すでにスタンダードとなりつつある、
外資による現地金融機関に対する
資本参加という方法に、
唯一で遅れている先進国こそが日本だからです。
日本の銀行も中国において
積極的に展開しているような印象を受けますが、
それは、地方に事務所を開設した、
という段階にとどまる場合が多く、
欧米の金融機関のように、
膨大な資金を背景とした
「06年金融開放」及び
それ以降を見据えた市場戦略とは
若干色合いが違ってきます。

以上の点については、
以前も紹介したことがありますが、
06年の中国株を考えるうえでは、
「06年金融開放」に絡む
四大国有銀行を中心とした中国の銀行改革は
避けては通れない問題といえます。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

←前回記事へ

2006年1月4日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ