第504回
前途多難の日中政治関係、外交巧者の中国

反日デモで
大使館や領事館が破壊されたことは、
時代が時代ならば宣戦布告そのものですし
(今でもそう取られてもおかしくはないですが)、
これこそ日本人として、
国民を抑制できなかった中国政府に対して
怒っていいことです。
もちろん、日本は戦争を放棄していますから、
怒るといっても、武力ではなく、
理性的に言論によってですが。

破壊された領事館の修復に応じたことが、
国内外であまり反響を呼ばなかった
(少なくとも破壊そのものよりは
 扱いが小さかった)ことは、
中国政府にとってはこの上もなく好都合であり、
国益にも適うことであり、
これこそが、結果的に(この件に関しては)
中国外交の成功ともいえるわけです。

外交もやはり一種の交渉です。
これのうまい下手は
その国のカラーとして残っているようです。
中国は「商人」という言葉が
3000年も前からあるほど、
また、世界的にもユダヤ商人に
比肩するとも言われるほどのお国柄ですので、
当然のことながら外交上手でしょう。
それに比べると、
私が改めて言うまでもなく、
日本の外交下手は有名です。

交渉というのは、
ビジネス上でもそうですが、
必ず到達点というのを見据えて行うものです。
その中には、理想的なもの、
合格点のもの、合格点ではあるが次点のもの、
許容できないもの
(交渉を継続しなければならないもの)
などなどいくつもの到達点を設定し、
あの手この手で相手から
譲歩や有利な条件を勝ち取るものです。

この観点から言っても、
(今のような形態の)靖国参拝は
どのような到達点も設定されていない、
少なくとも到達点があいまいで、
それが国民に伝わっていないという意味で、
それだけでも日本外交の失敗だといえます。
靖国参拝を通じて、
外交的にどうしようとしているのか、
明確に説明できる人がいるでしょうか。

改めて言いますが、
中韓の言いなりになって
靖国参拝をやめたほうがよい、
といっているのではありません。
外交的に、今のようなやり方は、
百害あって一理なし、ということです。

年末年始、
04年5月に自殺した
上海領事館館員の問題が、
日本と中国の間で応酬が交わされました。
その問題そのものはここでは言及しませんが、
06年の日中政治・外交関係も
前途多難といわざるをえません。
これ以上深刻化しないことを祈るばかりです。

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2006年1月27日(金)

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