夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第99回
人を育てる

先日、元同僚のホステスから相談がありました。
彼女は銀座でクラブをオープンし、
出産と同時にお店を人に任せておりましたが、
パートナーの他界、任せていたスタッフが
お店を辞めるということで、
どうしたものか?という相談です。

「自分は、つくづく損な役回りを
引受けるようになっているのよね・・。
結局、自分でやらなくちゃ駄目なのよね」
と溜息まじりにつぶやいていましたが、
経営者の仕事というのは
そういう性格や覚悟でなければできない仕事だと思います。

銀座のお客様でも後継者問題で
悩まれている方がいらっしゃいます。
長く、積み重ねてきた信用や実績を手放す悔しさは、
他人が簡単に解ることではありませんが、
向き合わなくてならない問題です。

資産運用の相談をされていても思うことですが、
日本人は子供に財産を残そうとします。
これ自体は悪いことではないのですが、
その前に子供を自立させたほうがいいのではないか
と思うことがあります。

日本の子育てで「かわいい」は「かわいそう」と同じで、
親が自分のモノみたいに思ってしまう人が
多いように思えます。

銀座のクラブのオーナーママ達も
働くホステスをかわいがりますが、
自立(独立)させるために必要な事を厳しく教えていないので、
その結果、年を経たホステスの次のステージがなく、
行方不明になることが多いのです。

人に任せられないと思ううちは、
任せられない息子やホステスのままで、
任せようと思うと任せられる息子や
ホステスになるのではないかと思うのです。

損な役回りやプレッシャーを逃げずにこなしていけば、
人の有り難さを実感しますし、
義理を欠けば誰も助けてくれなくなります。

銀座で働いて思うのですが、
お金はないよりもあるほうが不安は少なくなりますが、
人生の充実度や満足度と比例しているわけではないので、
人との関わりのほうが大事です。

総務省の統計では、初めて
単独世帯が夫婦・子供世帯を上回っています。
世帯数の増加は人口増加率よりも高いわけですが、
一世帯あたりの人数が減少しています。

頼れる人が少なくなって不安になるよりも、
他人を思いやりサポートできる能力と
スキルを身につけることが必要になってきていると思います。


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2011年8月6日(土)

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