日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第3回
中国の第十一次五カ年計画

3月14日に閉幕した中国の全国人民大会(国会)は
第十一次五カ年計画を可決しました。
同計画期間(2006〜10年)中の戦略的重点や主要任務などの
主な内容は次の通りです。

1)「三農問題」(農業、農村、農民の問題)の解決を
  戦略的重点と主要任務の筆頭に掲げる。
2)工業構造の改善・グレードアップ推進と、
  工業大国から工業強国への転換を促しサービス業、
  特に情報産業、金融業、保険業、物流業、観光産業などの
  サービス業の比重と水準を絶えず高めることを提案。
  資源節約型社会の整備を重視。
3)地域のバランスの取れた発展の促進。
4)独自開発力の着実な増強。
5)改革深化と開放拡大。
6)調和社会の建設への努力

などがあります。

1953年からスタートした中国の五カ年計画は
今年で11回に上り
今後5年間の中国進路であり、
中国経済を見る重要なコミュニティです。
今度の五カ年計画の最大の特徴は、
農業重視、構造改革と調和した社会の建設です。
逆の視点で見れば、農村から始まったケ小平の経済改革は
都市と沿海部に重点が移り
多くの農民と農村が取り残され、
それによって貧富の差が増幅し
社会的な不安を引き起こされる要素があることを物語っています。

又、重工業や産業重視の政策に陰りが見え、
サービス業の発展促進と
環境・省エネ重視型の政策が急務であることが分かりました。
中国経済はいま、量から質への転換の岐路に立たされています。
中国政府はこれらの問題を真正面から捉え
解決を図ろうとしています。
海外の多くの専門家は2006年以降、
中国経済がトーンダウンするのではないかと見ていましたが、
中国政府は逆に
成長率を前の5カ年計画より0.5%引き上げ8%にしました。
ある程度のハイレベルの経済巡航速度が
雇用の安定や社会保障の改善にいかに重要なのかが分かるでしょう。
決して平坦ではない山道で
様々な安定しない重い荷物を載せて走る
大型トラックを運転する運転手のように、
ハンドル、そしてアクセルとブレーキのバランスが重要です。
容易ではない舵取りですが、
高い危機意識を持つ実務型の中国の現指導部に
期待をかけても良いでしょう。
香港経済日報は今度の五カ年計画に合致し
今後更なる成長が期待できる香港株を次のように挙げています。

内需型の経済発展は
小売業の国美(0493)、百盛(3368)、
不動産業の中国海外(0688)、華潤置地(1109)などに、
又公共事業の価格改革やクリーンエネルギー政策は
中国石化(0386)、新奥燃気(2688)などに
良い影響を与えるでしょう。
建設銀行(0939)、交通銀行(3328)
及び中国平安保険(2318)などの金融株は
8%の経済発展維持に大きな役割を果たすこととなるでしょう。


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2006年4月11日(火)

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