日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第7回
米中関係と人民元

日本人にはほとんど知られていませんが、
中国人の対米感情を一部代弁している出来事があります。
それは、世界を震撼させた「9.11」事件です。
アメリカを平和から永遠に引き離す事件だけに
世界警察としてのアメリカの自信とプライドを
大きく傷つけることとなったでしょう。

事件当時、ぼくは丁度中国出張中でした。
テレビから流れてきたショッキングな映像を見る中国人の気持ちが
実に複雑でした。
ひどすぎる事件だなと思う一方、心の底には
「アメリカよ、お前もこんな目に会う日があるのか」
と思っていたに違いはありません。
日本と違い中国は
長い歴史の中で外来民族による征服の前例
(結局、中国の統治者となった外来民族は
いずれも逆に漢民族化されたが)はいくつもありましたが、
外圧に屈した事例はあまり見られません。
世界に君臨するアメリカの強引な手法に
中国人は過去も今もそして将来も
決してこころよく思う時はないでしょう。
しかしながら、いま、中国は米国と対決することなく、
経済発展を優先させ
原則問題以外に妥協できることは妥協するという現実路線を取るし、
中米友好ムードをうまく演出するでしょう。
ただあと15〜20年さえすぎれば、
国力が増強した世界大国の中国は、
アメリカの強権を黙って見るわけには行かないと思われます。
アメリカの覇権主義は収斂しない限り、
米中対立は避けられないでしょう。

ここ数年、中国の最高指導者は
米国訪問するたびに為替市場が人民元に対しいろんな憶測をします。
中国にしてみれば、人民元高は中国経済の成長とともに
「自然に」且つ「適切に」行われていれば問題ないが、
誰かに言われて元高になるなら、大問題です。
人民元高は必然な趨勢であり、
元高は中国の国益に繋がると分かっていても、
アメリカは外国為替操作国とか騒いでいるうちに
中国の指導者は決して
大幅な元高に誘導するなり性急に為替改革を進めないでしょう。
あるドイツの著名な中国研究家は西側に対し
「中国に対してあまり干渉しないほうが良い。
干渉は失敗のもとだ。
中国は、他国に干渉されてどうにかなる国ではない。」
と、こうして警告を発しています。
時間の問題ですが、人民元のことは放っておいても、
中国が自ら解決するのではないでしょうか。


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2006年4月25日(火)

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