日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第16回
日本人と中国人のスケジュール管理

日本に来た当初、カルチャーショックを受けたものの一つは
日本人のスケジュール管理です。
仕事においてはもちろんのこと、
私生活まで徹底的にスケジュールを管理しているのは
日本人ぐらいではないでしょうか。

日本に来て間もないことでしたが、
まだ学生の僕は、日本人クラスメートのAさんに
「明日土曜日だから、僕のアパートに遊びに来ない?」
と誘いましたが、Aさんはさりげなく手帳を取り出して
「明日は先約が入っているので、
今月ならこの日とこの日が大丈夫だ。
来月ならこの日とこの日は、今のところあいている。」
と言われショックを受けました。
中国なら、いつも
「今日XXXに遊びに行くから、一緒に行かない?」
と当日に誘うのが普通でしたので、
前日に誘うことは相当気を使ったつもりでした。
スケジュール手帳を調べるAさんに
「お前は総理大臣か」と言いたいぐらいの気持ちでした。

スケジュールに対する日本人と中国人の感覚は
国民性というべきものです。
中国企業との付き合いの多い当社で、
僕の日本人の部下は一番困っているのが、
中国のお客さんのスケジュール管理です。
一日3回スケジュールを変えるお客さんもいたので、
さすがにストレスが溜まるでしょう。
「明日のことはだれでも分からないから、
スケジュールを決めてもどうせ変わるので、
細かくやっても意味ない」
というのは中国人の基本的な考え方です。
「明日のことが分からないからこそ、
日程を作ることによって明確にしていくべき」
というのは日本人の主張でしょう。

日本に来て既に18年経過し
日本の国籍も取得した僕のいまの日程管理法は、
日本人に対して1ヶ月前にアポを入れ、
中国人に対して前日か3日前にアポを確定させるやりかたです。
しかし、このやり方は仕事においてはそのまま通用できません。
日中企業の架け橋となっている当社は、
日本企業から
「日程を早めに決めてくれないと、困る」と文句を言われ、
中国企業から
「早く決めても、政府の緊急会議が入るかもしれないし、
確約はできない」とくぎを刺されます。
スケジュールに対する考え方はどちらも一理があるし、
日本人と中国人の国民性は変えられるものではないので、
ぼくの日本人部下の悩みは永遠に消えないものでしょう。


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2006年6月2日(金)

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