日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第18回
中国の進学問題

6月初旬は中国の大学統一入試試験の季節です。
今年の受験生の人数は史上最高の950万人に上ります。
「入試商戦」もピークに達しました。
北京市の11万人の受験生に対し「入試ホテルルーム」、
営業食品などを提供するサービスは様々です。
受験生たちも親たちも神経がぴりぴりしてきています。

北京市の進学率は75%にも上り、
各高校はもはや大学の入学率の競争ではなく、
一流校への入学率の競争となります。
思えば、24年前、僕たちの時代には
大学の進学率はわずか3〜5%でした。
国立大学の拡充だけでなく、
民間大学の増加も進学率を飛躍的に押し上げました。
大変良いことと思う一方、大学卒業生の就職難も耳にします。
今と違って、職業の自由はありませんでしたが、
僕らの時は学費、寮費などを全て国が持ってくれましたし、
卒業後の就職先も国が決めてくれました。
貧しい家庭でもちゃんと勉強のできる子であれば、
入学時の金も卒業後の就職先もなにも心配せずに済んだわけです。

今の時代は、大学に受かっても
入学金を払えない生徒さんが続出していますし、
死ぬ思いでお金を借りて大学に入りましたが、
卒業後就職先も見つからないケースも続発しています。
人生目標を失う大学生が多く、
「質」的に落ちていると採用する企業より指摘されています。

一方、「なぜ深せんに来たの?」と
レストランで働いている福建省出身の若い女の子に聞いたら、
「故郷にいる、勉強大好きの小学生3年の妹の学費を稼ぐために
出稼ぎに来ました」
と答えてくれました。
本人は小学校中退で家事を手伝いしていたそうです。
中国は表向きでは9年の義務教育ですが、
田舎では小学校も卒業できていない
貧困家庭の子供たちが大量にいると聞かされ、
ショックを受けています。
大学の整備はいいことですが、
基礎教育への投資は十分とはいえないのが現状です。
基礎教育を重視しないと、
中国の未来は危ういと言わざるを得ません。


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2006年6月9日(金)

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