日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第20回
地方政府の活力

中国地方政府リーダの若年化現象に驚いています。
昨年、広州増城市政府の訪日代表団を率いる
弱冠43歳の朱澤君市長に東京で会いました。
年齢が極めて近いということですぐ何でも話し合える仲となり、
親しく付き合うようになりました。
朱市長は5年前に市長になりましたので、
38歳の若さで市長に抜擢されたわけです。

ちょっと失礼かもしれませんが、
朱市長は共産党の政府幹部というよりも、
ベンチャー企業の社長と言ったほうが適切かもしれません。
増城市の未来のビジョンをしっかり持っているし、
人前でのプレゼンテーションも上手いです。
部下の局長たちのお話によれば、
朱市長の仕事への情熱はほとんどクレージーに近く
土日も呼び出されることが度々あるそうです。

増城市は広州の城下町で約100万人弱の人口がいます。
最近、増城市における広州本田の巨大工場の新設は
話題を呼んでいます。
広州本田の巨大工場は敷地面積30万坪を超えており
朱市長の再三の懇願で電撃的に増城に決まったそうです。
進出決定からわずか3週間で土地の確保から整地まで、
増城市政府が類も見ないスピードでやり遂げ、
本田のトップを驚かしたと聞いております。
政府には市長以外に副市長が4人います。
朱市長は一番年長で、一番若い副市長は32歳だそうです。
朱市長を始めとする若い指導層の下で
増城市のGDPは過去5年間で平均20%超のスピードで成長し、
広東省No.1の成長率でした。
昨年の成長率も13.5%で広東省首位をキープしているそうです。
増城市の行政は役所というよりも、
サービス業と朱市長が自ら宣言し実践しているおかげで、
増城市は多くの外資企業を惹きつける町となっていき、
産業発展・環境保護のバランスの取れた戦略ビジョンの下で
増城市は魅力の都市になっていくに違いありません。

一昔前の地方政府幹部は大抵解放軍から復員した人間が多く、
地方政府運営の経験はもちろん、大学すら出ていませんでした。
朱市長の場合は、中国の名門大学
中山大学管理学の修士課程を終えており、
長年広州市副市長の秘書として行政に関わってきました。
それだけではなく、本人は中国作家協会の会員でもあり、
作詩作詞の名人でもあります。
果敢な決断力、理想に燃える情熱、
強い責任感と人情に溢れる人当たり、更にロマンチストであること、
これらは僕がみた若い朱市長の人間像です。
このような多才の地方政府のリーダは決して多くないと思いますが、
中国未来を代表するリーダ像ではないかと思います。
朱市長のような若い指導者がいるからこそ、
中国の将来は明るいと断言できるでしょう。


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2006年6月16日(金)

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