日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第22回
中国企業の元気の元

前回は中国地方政府リーダの若年化現象に触れましたが、
今回は中国企業の若いトップについてお話ししたいと思います。

先週、北京からお客さんが来ていました。
固体廃棄物の処理、
特に医療廃棄物の処理において中国実績No.1の企業―
北京機電院高科技股分有限公司の社長と副社長2名が
当社の招聘で日本の環境技術を視察しにお見えになりました。
北京機電院高科技股分有限公司は北京市政府の孫会社に当たります。
その株主には北京エンタープライズホールディング
(香港レッドチップ株、銘柄コード0392)、
京城ホールディングや首創など
北京を代表する企業がそろっています。
同社はいわゆる北京市政府企業で国有資産の一部です。

社長の蒋さんは38才。
工作機械の修士課程を終えてすぐ同社に入り
12年間技術と営業畑を歩いてきました。
32才で社長に抜擢されました。
財務担当の副社長劉さんはモデルのような長身の女性で34才。
中国の名門大学南開大学の金融学科を卒業してから
北京エンタープライズホールディングに入社し
実績が認められ28歳の若さで同社の役員として送り込まれました。
清華大学ビジネススクールのEMBAを出ています。
技術担当の副社長趙さんは37才。
入社13年間の環境技術のベテランで清華大学を出ています。
2、3年以内に同社を上場させ、
2010年までに現在45億円の売上を150億円以上に伸ばすと、
蒋さんたちの夢は大きいです。
蒋さんたちを激励しているのは
もちろん単なる志や理想だけではありません。
わずかではありますが、蒋さんたちが同社の株主であるから、
そうさせている部分もあるのではないかと思います。
国営企業改革の成果と言えましょう。

20年前、僕が就職した政府大手金融機関は
ほとんど政府役人や軍人の天下り先で
トップは50代ぐらいの経済の素人が多かったです。
当時の企業トップの経験とやる気は
今の蒋さんたちの比ではなかった筈です。
1979年に始まったケ小平氏が主導した
「改革・開放」政策は中国に何をもたらしたかを考える時、
経済の豊かさはもちろんのこと、
20数年をかけて
人材が育ってきたという功績が歴然であると言うべきでしょう。
そしてこれらの人材に
力を遺憾なく発揮させる体制と仕組みをどう作るかは
いま、大きな課題として浮上しています。
後を絶たない国家公務員の汚職をどう減らすか、
個人利益と国家利益のバランスをどう取らせるべきか、
中国政府は少しずつ慎重に様々な試みを始めています。


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2006年6月23日(金)

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