日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第50
杭州人

「天上に天国あり、地上に蘇州と杭州あり」
と言われるほど、杭州は美しい町です。
景色だけではありません。杭州の女性には美人が多いです。
さらにいうと、
南の都市で歴史上唯一国の都になった町は杭州だけです。
杭州は南宋時代の首都でした。
また、杭州は今も昔から「江南の才子」を輩出する浙江省の都です。
人々の文化教養の高さは中国で屈指のレベルです。
杭州人にしてみれば、杭州よりいい町はありません。

事実上、杭州人は進んで杭州を離れる人が極めて少ないです。
この点においては上海人によく似ています。
同じく浙江省の寧波人と温州人と違い、杭州人は保守的です。
ビジネスにおいても杭州人は誇りを忘れていません。
商売成立するかしないかは重要ではありません。
もっとも重要なのは面子(メンツ)のことです。
儒教の教育を受け、科挙試験をくぐってきた杭州人は
心の奥にいかに金儲けをしたくても
決して赤裸々に金銭のことを語りたがりません。
「金儲け」にきれいな衣を着せるのは杭州人の得意技です。
「金儲儲けは重要ではない。重要なのは世のために善きことを」
というのは杭州人の口癖のようです。
杭州人にとっては
ビジネスでの成功よりも官僚としての出世がずっと栄光的です。
そのせいか経済界で大成功を収めた杭州人はあまりいません。

何事にも平常心に接する杭州人は、暴利と無縁のようです。
行動する前に、すべてを熟慮し、堅実経営を基本としています。
杭州の経済界は「10%利益」経営法を唱えたことがあります。
いわゆる「10%利益経営法」は
小売価格を決めるにあたって
仕入コストに10%の利益を上乗せることです。
価格札に仕入れ価格と小売価格を明示することで
顧客に安心して買ってもらえる構想です。
発想は大変結構ですが、現実にはうまく行きませんでした。

杭州人はとても上品です。
教養のない人を見下しがちです。
大声を出して喧嘩する人は杭州人には少ないです。
なにかトラブルがあれば、すぐ「手を出す」北方人と違い、
杭州人はまず理にかなうかどうかを議論し、
平穏に問題解決を図ろうとします。
従って杭州人と付き合う時は、
理屈、ロジックとモラルを以って接することが肝心です。


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2006年10月6日(金)

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