日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第53回
温州人

温州人にしてみれば、職種の上下関係はありません。
一番肝心なことは儲かるかどうかです。
だからこそ、温州人はどこへも行き、
誰からも軽視されやすい分野で
こっそりと金儲けをすることができます。
温州人は自主、自立を求めており、
他人の下で仕事をするよりも、自分でボスに成りたがります。
そのためにリスクをとっても平気です。
何をやっても楽しくやっていけるし、簡単にくじけません。

改革開放後の中国の各地の至る所では、温州人が活躍しています。
靴の修理、散髪屋、小さな売店など、
いずれも人に注目されない商売から始めた温州人は
段々温州電気街、温州ファッション街、
温州美容院などへ規模を大きくし、
温州で作られた安くてデザインのよい製品は
中国各地で売られてゆき、
いつの間にか温州の看板は至るところに溢れてしまいます。

温州人は生まれつきの商売人です。
人より一歩先というのは温州人商法です。
たとえ小銭でも温州人は苦労とか面倒を言わず黙々と働いて
確実に稼いでいきます。
温州人には度胸があります。
他人が想像もできない、やる勇気もないビジネスに
率先してトライします。
現在、中国の大富豪となった王均遥は温州出身の一農民でした。
28才の若さで航空機チャータービジネスを
誰よりも先駆けて始めました。
温州人は鉄面皮です。
金儲けができれば、
どんなに冷たくされても笑顔を絶やすことがありません。
温州人は目立たない商売から着手することが得意です。
ボタン、表札、小装飾品、おもちゃ。
温州人の作った小商品は中国に溢れています。
温州人は小さな商品から事業を始めますが、
決してそれにとどまらず、ボタンからファッション、靴へ、
電子部品から電気設備へ、日常用品からハイテク製品へと
温州人は商売においては止まることを永遠に知らないようです。

温州の経済発展は温州の特殊部隊といわれる
「農民営業隊」の活躍と密接に関連しています。
統計によれば、温州「農民営業隊」は14万人以上に上ります。
温州「農民営業隊」は中国各地に散らばって温州製品を販売し、
必要とする原料や設備を仕入れ、
情報を集め、伝達してまた新たなビジネスを作っていきます。
世界一コスト安くて動きの早い総合商社です。
この特殊部隊のおかげで
温州人は不動産や金融の分野にも触手を伸ばします。
数年前に上海、北京などの主要都市を席巻した
マンションまとめ買いによる不動産投資の主役は
温州人の組織した「温州マンション購買団」です。
「温州マンション購買団」はマンション価格を吊り上げ、
いいところで売り切る手法を繰り返し、莫大な利益を稼ぎました。

温州人はあまりにもビジネス頭脳が発達しているせいか、
いい商品を見つければ、翌日にもまねして半値で売り飛ばします。
温州は一時偽ブランドの製造天国にもなりました。

ビジネスにおいては、温州人は手ごわい相手です。


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2006年10月20日(金)

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