日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第77回
客家(はっか)料理と客家人

日本人になじみのある中華料理といえば、
広東料理、四川料理、上海料理、北京料理などがありますが、
客家料理を知る日本人が数少ないと思います。

中国出張中にお客さんと一緒に
久しぶりに客家料理を食べることにしました。
客家料理の店は高級店が皆無ですべて気さくな大衆向けの店です。
汚そうな店ですが、料理が絶妙な味でした。
客家料理は肉料理がメインです。
海鮮など高級食材をほとんど使っていませんが、
程よいしょっぱさがビールのつまみとライスの肴に最適です。
客家料理は胃袋に十分満足できる食感のある料理といえましょう。
客家の文化と歴史を感じさせる料理ともいえます。

いままで地方ごとに中国人の特徴を紹介してきましたが、
漢民族でありながらどの地方にも属さず、
強い特徴を持つ「客家人」を紹介しないと、
中国人の歴史を語ることができないと痛感しました。

客家人はそもそも黄河流域を中心とする
中原エリアの漢民族でしたが、
戦乱や迫害など災難を避けるため、
南蛮の地といわれる福建、広東などの南方に逃れてきました。
その歴史は秦、漢、唐の時代まで遡ることができます。
実に2千年以上あります。
地元にはすでに住民がいましたので、
逃れてきた人々はもちろんよい土地に恵まれませんでした。
また追っ手から隠れるためにも、
ほとんど環境粗悪の山地に住んでおり
地元の人から「客家人」と呼ばれるようになりました。
客家とは外来のお客さんの意味でした。

客家人は中原の伝統と言語を保ちながら
南方少数民族の風俗習慣を吸収した結果、
今日の客家の言葉と文化を形成させました。
客家人は様々な危険の中と厳しい環境を生きぬいてきたため、
強い忍耐力、団体精神と勤勉心をもつ特殊な団体となりました。
テレビ番組の紹介で客家の集落を見たことがあります。
建物はタワー型の城壁のごとく周りを固められており
中庭だけがあります。
家族別々の数十世帯が同じ「城」に住んでおり
中庭を共有しています。
中国人の中で一番団体精神の強い群れは客家といわれています。
住み家を見れば、そのわけが分かります。
また、客家人は誰よりも教育に熱心な一族です。
過去から現在まで著名人を輩出しています。
中国経済改革の父ケ小平氏、
シンガポールの父リーグアンユー氏はいずれも客家の出身です。
インターネットの検索エンジンで「客家」と入れれば、
客家人の力が自ずから分かるでしょう。


←前回記事へ

2007年1月19日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ