日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第79回
中国の都市化の光と影

東莞市の発展は見張るものばかりです。
広州、深せんに次ぐ経済都市として成長を遂げた
東莞市のセントラルエリアに行くと、
広々とした8車線のメインストリートに
両側及び中央隔離帯の広い緑化地帯が設置されています。
モダン的な建築物が立ち並び、
商業施設や高級住宅街が目を引きます。
欧米都市と思わせる広大な町並みがくっきりと浮かびつつあります。
広州、深せんの城下町、工業地帯、田舎だった東莞市はいまや、
人口約700万人の現代都市に変貌しつつあります。
このような変化はわずかここ5年間のことです。

このようなケースはもちろん東莞市だけではありません。
中国各地で都市化のスピードが凄まじいです。
都市化による経済効果は莫大です。
各地で不動産価格が倍倍ゲームのように上がり、
建設ラッシュに沸き、繁栄を謳歌しているように見えます。
その一方、問題は少なくありません。

急ピッチの都市化に対し、中国社会科学院の研究者は、
土地や資源の浪費に繋がる恐れがあると警鐘を鳴らしております。
「国際大都市」のコンセプトは
2004年に打ち出された「大北京」から発端しています。
現在、国際大都市の建設計画を打ち出している地方都市は
48都市にも上っており、
大瀋陽、大昆明、大煙台、大蘭州などがそれです。
一部の地方都市は、
現人口の3倍、4倍の規模で都市計画をしており、
大道路、大緑地、大政庁、大展示会場などの建設は
ブームとなっています。
地方政府はそれを自慢している反面、
土地を無くし、働き口がなく、
社会保障もない農民が増える一方です。

スイス銀行のある調査レポートによれば、
2005年世界銅・ニッケルの取引高の20%、
鉄鋼取引高の25%、世界セメント生産量の53%が
中国により消費されたそうです。
中国の都市化のスピードは
ボストンクラスの都市を毎年二つ建設されるという計算になります。

人口が多く、地域差の激しい中国では
急ピッチな都市化は資源の枯渇、
社会不安を引き起こすばかりだけではなく、
世界全体への影響が大きいです。
いかに現状を正確に捉え、未来を見据えた都市計画を作るかは
地方都市の緊急課題といえるでしょう。


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2007年1月26日(金)

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