日中を股に賭けるビジネスマン・千葉鴻儀さんが見た光と影

第81回
熱狂する中国株の裏事情

「上海総合株価指数は2000ポイントを突破!」、
昨年11月20日に世論が騒然としました。
そして25日後、「2245ポイントだ!」、
上海総合株価指数は新中国株式市場の最高値を更新しました。
「2807ポイントだ!」、
今年1月19日に中国上海・深せん株式市場の時価総額は
始めて10万億人民元を突破しました。
「2900ポイントだ!」、
1月22日に上海総合株価指数は再び最高値を更新しました。
取引高は1000億人民元を突破しました。
株価百元を超える株(いわゆる高額株)は5年ぶりに現れました。

事務所の中、銀行のカウンターの前、食卓上、
人々は至る所で株の話題に熱中しています。
OL、売店の店員、農民、団地の管理人でさえ
株に興味津々となりました。
5年前に「賭博」と敬遠された株式取引が
再び人々の関心を呼びました。

中国株式市場は2001年から低迷を続けていました。
2004年、株式投資新規開設口座はわずか162万口座でした。
2000年に比べて8割減でした。
当時の流行言葉は「毒品から離れよ、株式市場から離れよ」でした。

ところが、2005年後半に入ってから
中国株式指数が1000ポイントから
現在の2900ポイントまで跳ね上がった時間はたったの18ヶ月でした。
この突如やってきたブル相場は
人々の想像を超えて謎となりました。

二年前から超低迷化の株式市場を振興するために
証券当局は数百億人民元の資金を投じて
瀕死の国有証券企業の救済に乗り出した一方、
不正上場企業や仕手グループの整理を行いました。
さらに2005年5月に国有法人株の改革にも手をつけました。
しかしながら、当局の意向に反し
6月には株指数は1000ポイントを下回りました。

空前の相場の原因はなにかというと、
一つ言える事は、融資機能を失った株式市場が
中国の金融業に大きな危機をもたらした事実があり、
当局としては
これ以上放置できなかったということではないでしょうか。
中国著名の経済学者呉敬連氏は
「過剰流動性の存在がなければ、
このような相場が持続することができない」
と指摘しました。
呉氏の分析によれば、中国の現在の外貨準備は1兆米ドル、
すなわち8兆人民元を超えています。
中央銀行は2兆人民元の手形しか発行していないので、
6兆元の資金がマーケットに滞留することとなります。
乗数効果の下で
30億のホットマネーが市場に出回る計算となるそうです。
十分な余裕資金に支えられ
中国銀行や工商銀行を代表とする大型株が
率先して上昇し指数全体を引っ張り、熱狂相場となったわけです。

大型株への一極集中リスクへの
アナリストたちの警告にもかかわらず、
投資家たちは次から次へと株式市場に入り込んできています。
中国の株式市場の熱狂振りはすぐ収まりそうもないように見えます。

数年前に有名なお話を聞いたことがあります。
中国株式でよく儲かった証券会社の前の
自転車置き場の管理人のおばさんがいました。
秘訣を聞いてみたら、
「自転車ががらがらのときに、株を買い、
自転車がいっぱいになったときに株を売っただけ」
と答えたそうです。


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2007年2月2日(金)

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