中国人と日本人 邱永漢

「違いの分かる人」へのヒントがあります

第27回
日本人は職人、中国人は商人

日本の会社名が漢字からカタカナに変わるのをみて、
「何と主体性のないことよ」とあきれる外国人は多いけれども、
カタカナをただのカタカナと思うのは間違いで、
正確にいえば、フリガナの省略である。

ローマ字にフリガナをしたのが正式の社名だが、
それでは厄介なので、
ローマ宇の方を消してカタカナだけ残したと思えばわかりやすい。

たとえば、東通工がソニーに変わったのではなくて、
SONYにフリガナをしたのがソニーなのである。

漢字の場合は、昔から漢字にフリガナをしてきた。
漢字文化の輸入から口ーマ字文化の輸入に変わると、
まさかローマ字にフリガナをするわけにもいかないから、
フリガナのほうだけを生かすか、
ローマ字のままにするかのどちらかになった。

いったん、フリガナ社名の会社が
華々しい活躍をするようになると、
何となくカ夕カナか、口ーマ字にしたほうが
カッコいいと思う人が多くなり、
帝人がテイジンになったり、
豊田がトヨタになるのが時代の流行になった。

メイド・イン・ジャパンの商品が国際化していくプ口セスで、
外国人に覚えてもらう必要もあったから、
ローマ字社名が次から次へと採用されるようになり、
三菱がMITSUBISHI、
味の素がAJINOMOTO、
また日産や本田がそれぞれNISSANとか
HONDAに変わった。

いずれも、そうすることが
カッコいいことだと思い込んでいるのだから、
いくらおかしいですねと言っても、
本人たちは案外、鼻高々なのである。

「まず名を正せ」といわれているように、
名が変われば、中身も自ずから変わる。

帝人がテイジンに変わり、
味の素がAJINOMOTOになっても、
中身は同じじゃないかと思うのは間違いで、
社名がカ夕カナになり、日立、東芝と書けばよいものを、
日本国内で販売する商品にまでHITACHIとか、
TOSHIBAとかローマ字で表示するようになると、
その会社の人はなんとなく
自分らが国際化に成功したような気分になる。

まず第一に、自分らは外国の技術や設計や
マネジメントを取り入れているんだぞ
というプライドが生まれる。

第二に、自分らの生産している商品は
日本人にだけ売っているのではないということを
日本人仲間にデモンストレーションすることができる。

事実、そういう努力をすることによって、
日本人は外国から輸入した商品を次から次へと改良して
消費者の受け入れやすい商品につくりかえて、
日本国内だけでなく、世界中に売り込むようになった。





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2012年9月3日(月)

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