第4回
導引練習は体内環境から整える その1

「体内環境」ということばは日本に来てから聞いたのですが、
漢方医学理論によく似合うことばだと思います。
人間の皮膚はちょうど境界のような役割をしていて、
皮膚から外は体外といい、皮膚から内は体内と言います。
体外には、そら(空)・大地・高山・河川・空気・
他の生命体などが存在します。
一般的に言われる自然界です。

暑くなったり寒くなったりする気温の変化や
雨が降ったり晴れたりする天気の変化、
風が強くなったり弱くなったりする風速の変化、
川の流れにも速くなったり遅くなったりする変化があります。
それらは自然現象と見られます。

生命体は自然現象のもとで
生長、発育、繁殖、死亡という変化を営んでいます。
漢方医学ではこうした自然変化現象の中でも
「風・寒・暑・湿・燥・火」という6つの現象は
体の健康に影響を及ぼすという認識があります。

体内には皮・筋・骨・経脈・臓腑など固定する器官があり、
また体内を流れている気・血・水もあります。
体内では自然界と同じように様々な変化が毎日起こっていて、
同じように「風・寒・暑・湿・燥・火」の6つの現象があります。
これらは外に対して
「内風・内寒・内暑・内湿・内燥・内火」と呼ばれます。
この六つの内的な変化は体外の変化により
体の健康に大きく影響します。

例えば、体を部屋に見立てて説明してみましょう。
室外の気温や天気の変化よりも
室内の室温や湿度の変化は大きくないので、
構造もよくて室内空気がよい部屋の中であれば
人間の起居には安心でしょう。
このような良い部屋ならば、
たとえ室外の天気や気温の状態が悪くなっても
室内に及ぼす影響には限度があります。
しかし、部屋の構造が弱く不安定で
室内空気が悪いとなれば人間は住めなくなり、
室外に強風や大雨などがあれば部屋が潰れやすくなります。

だからこそ体内環境の良さは健康にとって大事であると考えて、
漢方医学の治療は体内環境の調整を中心に行います。
そして導引練習もまた体内環境から調整し始めます。


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