第12回
立式八段錦功法 第五段、第六段

前回紹介した
立式八段錦功法の第三段、第四段に引き続き、
今回は第五、第六段の内容を紹介しましょう。

五 猿蹲式 (yuan dun shi  エンソンシキ)

 準備姿勢をとってから
 (1)息を吸う 両腕を平行にして前へ挙げ、掌を上向きにする。

 (2)息を吐く 両手を握って拳にしてから両脇まで引き戻す。

 (3)息を吸う 手は拳にしたまま前に押し出し、
          肘を一杯に伸ばし、
          同時に両膝を極限まで曲げて腰を落とす。

 (4)息を吐く 両肘を曲げ、膝を伸ばして2の姿勢に戻る。

 (5)息を吸う 両拳を開いて、両腕を体の左右側から上に
          弧を描きながら胸の前へあわせて戻り、
          掌を下向きにする。

 (6)息を吐く 両手を同時に下ろして、準備姿勢に戻る。

この動作の練習目的は、
関節、筋肉を動かして肝機能を増強することで、
“攅拳怒目増気力”
(サンケンドモクゾウキリョク)に相当する動作です。
中医学でいう肝とは、
全身の血量を調節する機能を持ち、
筋、関節とそれらの動きを統帥します。
主動的な関節を伸ばしたり曲げたりすることで
関節と筋肉を増強させ、さらに血の流れも促進させます。

六 虎踞式 (hu ju shi  コキョシキ)

 準備姿勢をとってから
 (1)息を吸う お腹の前で両手の指をそれぞれ交差させて組み、
          掌を捻って上向きにしてから
          胸の前まで持ち上げる。

 (2)息を吐く 両手指を交差させたまま頭の上へ、
          一杯に押し上げるように腕を伸ばす。

 (3)息を吸う 掌を下向きに返してからお腹の前まで下ろす。

 (4)息を吐く 背中と腰を前へ曲げ、腕を伸ばしたまま掌で
          地面を触れるように下ろす。

 (5)息を吸う 両腕を耳の傍まで持ち上げて背骨を伸ばし、
          上半身が地面と平行になるまで上げる。

 (6)息を吐く 2の姿勢に戻る。

 (7)息を吸う 掌を下向きにして
          両手を頭の上から胸の前まで下ろす。

 (8)息を吐く 準備姿勢に戻る。

この動作練習には、主に腰腎機能を増強する目的があり、
“双手攀足固腎腰”
(ソウシュヘンソクコジンヨウ)に相当する動作です。
中医学でいう腎とは、五臓六腑の中でも一番大事な臓器です。
人体の生命活動を維持するパワー(先天の気と呼ばれる)や
基本の栄養物質(精と呼ばれるもの)や
生殖パワーなどを貯蔵します。
腎は腰部にあり、また習慣的にも腎と腰との繋がりは密接です。
それは腰腎と言う一つの単語にまでなったことからも
わかると思います。


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