第13回
立式八段錦功法 第七段、第八段

前回紹介した
立式八段錦功法の第五段、第六段に引き続き、
今回は第七、第八段の内容を紹介しましょう。

七 飛燕式 (fei yan shi  ヒエンシキ)

 準備姿勢をとってから
 (1)息を吸う 両腕は体の横に肩の高さまで持ち上げて、
          掌を下向きにする。

 (2)息を吐く 肘を伸ばしたまま手首を曲げ、
          指先を上向きにする。

 (3)息を吸う 両手の姿勢をそのまま保持して、
          体を後ろへ反らすようにして伸ばし曲げる。
          顔は上を向く。

 (4)息を吐く 2の姿勢に戻る。

 (5)息を吸う 肘を曲げ、両手は左右に開いた状態から
          上半円の弧線を描くようにして胸の前まで移動、
          掌は下向きになる。

 (6)息を吐く 両手をお腹の前まで下ろし準備姿勢に戻る。

この動作の練習は心の機能を整えることが目的で、
“揺頭擺尾去心火”
(ヨウトウハイビキョシンヒ)に相当する動作です。
中医学でいう心とは、
全身の血液の流れ及び血液を包む脈を司り、
神経・意識・精神を統帥する臓器のことであり、
生命活動を主宰する重要な臓器でもあります。

八 立馬式 (li ma shi  リッバシキ)

爪先立ち
かかと下げ

準備姿勢をとってから
 (1)息を吸う 両腕はお腹の前に置いたまま、
          踵を地から離して持ち上げて爪先立ちになる。

 (2)息を吐く 踵は音を出すように一気に重々しく地につけ、
          同時に膝を少し曲げる。

 (3)息を吸う 両手を体の両側から頭上に持ち上げてから
          胸の前に下ろす。掌は下に向ける。

 (4)息を吐く 両手をお腹の前まで下ろし、準備姿勢に戻る。

この動作の練習は全身を振動させて経脈を整え、
気血の巡りを促進させることが目的で、
“背後七顛百病消”
(ハイゴシチテンヒャッビョウショウ)に相当する動作です。
病気にはさまざまな病因が考えられますが、
それらの病因が体内をめぐる気血に影響した結果、
病気になってしまうのだとするのが
中医学の考え方(病理)です。
だからこそ経脈を整える練習は、
気血の循環を良好にするだけでなく、
病気になりにくい状態に体を整えるには有効と思います。

今回で八段錦の立式功法の紹介はすべて終わりました。
この八組の動作練習は五臓を整えることが目的ですが、
あわせて全身の筋肉や関節を強くする効果もあります。
練習の初期段階では筋肉痛が生じることもあると思いますが、
練習を続けていけば自然に痛みも消えますし、
体にも元気が満ちてくると思います。


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