第67回
養生は体内環境を和みに調整することだ

養生は精気神の整えを中心とし、
五臓六腑や経絡の働く状態を調整することが
大事になります。
というのが、これまでお話してきた内容です。

五臓六腑、経絡、筋肉骨、
それから精、気、神などは、
すべて皮膚内に存在する体内のものです。
それぞれの働き状態と、
そして臓腑、経絡、筋肉骨などが
組み合わされた状態――体内環境
(以前、お話したことがあります)が、
良好かどうかということは健康に影響すると思います。
今回は、養生という視点から体内環境について
もう少しお話してみようと思います。

体を健康的によい状態にしたいと思うならば、
精気神を充足し、安定にすべきだという
中医学的な考えがあります。
神がよくなれば各臓腑、
器官の働き及び各機能の協調ができ、
精がよくなれば生命活動の基本物質の提供ができ、
気がよくなれば臓腑器官が働くための動力の提供ができ、
さらに外邪(体外から邪気の侵入すること)
内乱(体内状態の異常)に対抗ができ、
健康維持と健康づくりができると考えています。

体内環境の良さは臓腑器官の働きの反応であり、
精気神の状態に影響します。
中医学では、体内環境の理想的な良い状態は
和み状態であると考えます。
即ち、臓腑器官の働きのバランスが取れている状態です。
機能旺盛の状態でもなく、機能不足の状態でもない、
「陰平陽秘」という和み状態にあることです。

これらの臓や腑や経脈などのうち、
どれか一つでもその機能が旺盛になったり
不足になったりすると
精気神のいずれかが異常になります。
そうすると精気神が全般的に異常になり、
病気になってしまいます。
また、臓腑器官は
相互に関わり合っている
一体的なものなので、
一環が異常になれば全体的にも協調平衡が破れます。
最終的には精気神にも影響が及び、病気になってしまいます。

以上のことから、
養生は一つの臓や腑などの機能を強くすることではなく、
臓腑機能を和みにすることであります。
さらに、養生は全ての臓腑器官の機能を
お互いに協調平衡にして、
体内環境を和み状態に整えることであります。


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