第101回
自分の為

おととしの11月、
私は妊婦の方向けの運動指導を学ぶ為に
4日間の講習会に参加していました。
そこには同じ目的をもったインストラクターや
保健士・助産婦の方、
またまったく指導した経験は無いが、自分が受けていて
とても良かったから今度は教える方になりたい!と
言って来ていた人など様々でした。

その中で、とても印象が強かった出会いは
40代後半になる保健士の方です。
「これまでは人の健康の為に、
不規則な勤務を続けてきた。おかげで
この数十年で太ってしまい、血圧も高くこのままでは
自分が倒れかねない!妊婦さん向けの運動指導なら、
病院での経験も生かせるし、
自分もからだを動かす機会に恵まれるし、
これはもう私の為にあるようなものだ」
と目をキラキラさせていたのを良く覚えています。

とはいえ運動指導は自分が精一杯動いて見せたり、
説明しながら動いたりと結構ハード。
それを克服するために、動きや指導の仕方を学べる
別の養成コースにも通いだし、体力をつけるために
フィットネスクラブにも通ってトレーニングをこなしていました。
おまけに、「合格したらマタニティのレッスンを持たせてほしい」
としっかり営業までしてくるなど、
それはそれは本当に一生懸命で、
指導者に向けてまっしぐらでした。

とかくこういう仕事は
“人の為にやる”という色が強くなりがちですが、
この方のように自分の為にいいからやると、
明言する姿勢もいいなぁと感じました。
人の為と書いて“偽り”。
人の為に身をけずるのではなくて、
人の為にも、そしてそれにも増して自分の為にもなるのなら、
こんな最高な事はありませんよね。

私自身も自己実現を求めて続けてきています。
それが力の交流となって、受ける側にもメリットが生まれ、
指導する側は受けてくれる人たちによって
さらに指導者に近づけてもらう。
そんな相乗効果をますます教室内で生み出していきたいと
感じています。


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