第36回
インド・ビジネス2011年回顧と2012年の展望
今回と次回は、新年を迎えるに当たり、
ビジネスの面からインドの2011年を振り返り、
2012年を展望してみたいと思います。
2011年のインドは、3月に人口が12億人を突破したことが判明し、
8月1日には日本との経済連携協定が正式発効しました。
同じく8月には、インドの活動家が汚職に抗議して
ハンストしたことが話題になり、議会も動かしました。
そして、11月には、インド政府が、小売業の外資規制を緩和する
方針を発表して話題となりました
(その後12月に、国内での反発を受けて
実施は延期されています)。
日本企業にとっては円高の進行もあり、
グローバル化、とりわけインドへの進出意欲は
大きく拡大しました。
日本の駐インド大使館がまとめた統計によると、
2011年10月末時点で、
インドに進出した日本企業は812社に上り、
2006年初頭の267社から約3倍に増加しました。
インド市場に進出した日本企業を産業別にみると、
自動車産業と電気機械産業が中心ですが、
消費者向けの日用品メーカーなども
進出に力を入れ始めています。
一方インド経済の状況は、
2010年からの好調を維持して、2011年を迎えました。
消費の活発さをあらわす新車販売台数で見ると、
2010年の新車販売台数は前年比34.1%増で、
初めて300万の大台を突破するなど好調でした。
しかし2011年4月以降伸び率が鈍化し、
10月には前年同月比13%減となり、
リーマン・ショック後の低迷期以来の
大きな落ち込みを記録しました。
これは、前年同月比で2ケタ近いインフレを収束させるため、
中央銀行が繰り返し実施した利上げにより、
自動車ローン金利が上昇したこととなどが影響しました。
インド経済の2011年は、物価高、
ルピーの下落に象徴される年となりました。
ルピー相場は、年初には1ドル45ルピー程度でしたが、
11月末には1ドル52ルピーを突破し、15%強も安くなりました。
ルピーの対円レートではもっと極端で、
年初には1ルピー1.85円の水準にありましたが、
12月始めの時点では1ルピー1.51円程度と20%近くも下がりました。
(新年1月3日更新号に続く) |