第35回
現在のインドとカースト
今回も、カースト制度についてです。
これまで2回にわたって、カースト制度について書いてきました。
しかし現在のインドでは、
カースト制度の影響は確実に弱まってきています。
例えば、異なるカースト間の結婚は、
ヒンドゥーの世界では許されてなく、
特に女性が自分より下位のカーストの男性と
結婚することはほとんどありません。
しかし最近では恋愛結婚も増えつつあり、
都会では異カースト間の結婚もあるようです。
インドでよくある花嫁・花婿募集の広告で、
「カースト不問」
という言葉が入ることも見られるようになってきています。
一方こうした差別を嫌って、
集団でキリスト教や仏教に改宗するケースもあり、
不可触民出身で独立インドの初代法務大臣を務めた
アンベドガル博士は、不可触民数万人を率いて、
集団で仏教へと改宗するなどしています。
以上、カースト制度について記してきましたが、
この問題は複雑で、インド人ではない人が
そのことを本当に理解するのは難しいでしょう。
以前当社に、アパレル関係の会社を経営する
インド人社長が来た事がありました。
その人といろいろお話してる中で、
その社長は10年ほど前に
ベジタリアンになったということでした。
すると、自分はカーストで商人が多い階級(上位の階級)におり、
その層の人はベジタリアンが多いという話をしてくれました。
話の流れとは言え、
(こちらから聞いてもないのに)
自分のカーストの階級について話をした人は初めてでした。
日本で、インドと関わってない人と話をすると、
カーストについて聞いてくる人が多いのですが、
インド人に対してその話題をこちらから持ちかけるのは、
親しい人であってもしない方がいいでしょうね。
私はインドでビジネスを15年以上やってますが、
カーストがなにかの障害になったことはありません。
インド・ビジネスにおいて、
カースト制を特に意識する必要はないと思います。
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