インド・ビジネスの勘所  土肥 克彦

日本でインドやバングラデシュなどの国に向けたビジネスを行う
土肥克彦さんのインド・ビジネス成功のための小話集

第79回
インド人とのコミュ二ケーション上の注意点

前回、世界で戦っているインド企業は、
品質管理や納期管理などしっかりしているという話をしました。
ただその場合でも、品質管理に対する考え方では、
日本との違いがあるように感じます。

日本では決められた品質基準を守った上で、
できる限り最高のものを目指そうとします。
しかし、インド企業は品質要求は目指すが、
厳密にはそれに満たなくても、
顧客がそれで良いと判断するレベルがゴール、という考え方です。

この辺の考え方の違いは、インドの格安車ナノと日本車の
品質やコストの違いにも表れています。
ナノは、顧客が満足する最小の品質レベルで割り切った製品
となっています。

こうした考えに基づき、
インド側からは判断を求めてきますので、
発注した日本側としては、
ダメな点ははっきりと伝えることが必要です。
明らかに不足な点は言わなくてもやってくれると思っていると、
顧客が了解したと判断されてしまう事がありますので
注意しましょう。

この他にも、インド人とのコミュニケーションでは、
フィードバックと
全体像を伝えることを押さえておいて下さい。

インド人に仕事をしてもらったら、
顧客の反応やその後の結果などを
フィードバックするようにして下さい。
また、インド人に仕事を指示する場合は、
その仕事の全体像を示し、
その中で今回頼んだ仕事の位置づけを示すことが大事です。
インド人は意義のわからない仕事や、
全体像が見えないことは嫌いですから。
この点に注意してコミュニケーションすると、
インド側の仕事に対するモチベーションを上げる事ができます。

一方そうした良い関係作りのためには、
インド側からも、適宜報告をくれることが前提になります。
報告を受けたら、上記のように
細かく評価・指示してあげることが必要になりますので、
日本側の負荷が増えることは見込んでおきましょう。

この負荷をどう上手にマネジメントしていくかが、
重要な課題となります。





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2012年5月29日(火)

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