目標は「中金」持ち!

第32回
自分の貴人は自分で探せ その2

こうしてみると、当たるも八卦、
当たらぬも八卦であることがわかるが、
人間世界におこり得るあらゆる出来事が想定されているので、
なるほどと思われることも多いのである。

なかでも人の運がひらけるのは
どういう人に会うかをきっかけにして始まることが多いから、
ふだんから人によい印象を与え、
人間関係をよくしておくことが大切である。

たとえば、一つの会社で長く勤まらず、
しょっちゅう勤務先を替える人がある。
長く勤まらないのは、社風に合わないとか、
上司とそりが合わないとか、仕事が肌に合わないとか、
人によっていろいろ理由はあろうが、
二回や三回そういうことがあるのはかまわないとしても、
それが癖になると、
出世のチャンスを失って一生を棒にふってしまう。

特に仕事をやめるときのやめ方が問題で、
やめるたびに、そこの会社の上司や同僚たちと喧嘩をすると、
やめてからもとの職場と縁が切れてしまうばかりでなく、
顔を出すことすらできなくなる。

渡るたびに世間が狭くなって、
しまいには自分の殻の中にとじこもってしまうよりほかなくなる。
反対に、自分の一身上の都合で長い間、
勤めてきた職場を離れる場合でも、
皆から送別会をひらいてもらったり、
惜しまれてやめる人は、
何かわからないことや手伝ってもらいたいことがあったら、
すぐもとの職場に電話をかければ皆が協力してくれるから、
仕事場を替えれば替えるほど世間が広くなる。

職場を替えるほど
チャンスが多くなるということではないにしても、
人との出会いの中にチャンスがあるのだから、
「あの人は本当に顔の広い人だ」ということになれば、
逆に人から何でも相談を受ける立場になる。

相談を受けるということは、
いい話も悪い話も持ち込まれるから、
わずらわしいこともあるが、
情報源が増えて選択の可能性が増えることは確かだろう。

私の書いた『野心家の時間割』は
PHPビジネスライブラリーの一冊として出版されると、
たちまちベストセラーになった。

一九八四年のことだから、
もう十六年前になるが、
その後PHP文庫に組み入れられてからも版を重ね、
最新版の奥付をみると三十七版になっている。

この本がとぶように売れるようになると、
私は数えきれないくらい多くの若い読者たちから、
「今日は貴人に会いにきました」とか、
「今日は貴人に会えて嬉しいです」と挨拶されるようになった。

冒頭でもふれたように、
貴人とは出世のきっかけをつくってくれた
生涯の恩人のことである。
その貴人にいつの間にか私がされてしまっている。

私は人生を生きるにあたって、
そういう人との出会いがあることを紹介しただけのことであるが、
よほど印象が深かったのであろう、
なかには、本を持ってきて、
わざわざ私にサインを求める人もあったので、
私は「自分の貴人は自分で探せ」と書いてあげた。
すると、気の早い人や横着な人は、
「いや、先生が僕の貴人です」と
探す努力も省いてしまったりする。

そんなに簡単に貴人を見つけられるわけもないのにと、
こちらは苦笑いをする。
人と人との出会いの中で、生涯の伴侶になる人もあれば、
莫逆の友になる人もある。
またどこでふれあうか全く想像もつかないが、
あとで考えると、この人のおかげで
今日の自分があると思いあたる恩人との出会いもある。
そういう出会いは宿命だといえば、確かに宿命であろうが、
「棚から牡丹餅」ではない。

必死の努力をして、それが目上の人に認められる
きっかけとなって面倒をみてもらえるものであって、
好運のほうが向こうからとび込んでくるわけではないのである。

次回に続く





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2014年1月20日(月)

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