第48回
株は自己資金の範囲内でやらなければならない
株は、誰が持っていようと、
値下がりするときは全体として値下がりするものであるから、
うまく売り抜けた人があったとしても、
皆が助かることは望めないのである。
とすれば、値下がりを回避できれば、
その人にとってはラッキーなことであるが、
大暴落に遭ってもあまりショックを
受けないですむ手立てのほうが必要であろう。
そのためには、なけなしのお金で株を買って
値下がりに遭うのはやむを得ないが、
借金をして株を買うのは控えることである。
「株は儲かる」といい気になって、
自分の実力の二倍も三倍も、信用で買ったりしていると、
大暴落に遭ったときは、
自分の持ち株が下がるだけでなく
信用買いの担保に提出している株券だけでは不足して、
いわゆる追証(担保として納めた委託保証金の不足を補うための
追加保証金)を要求される。
追証に株券を追加できなければ、
信用で買っている分を安値で処分しなければならなくなる。
安値で叩き売れば、
損した分を担保に入れた株券の処分で埋めなければならなくなり、
損はさらに大きくなる。
そういうことを避けたいと思えば、
株の売買は自己資金の範囲内でやる
という自制心を常に働かせなければならないのである。
第二は、高値で株を買わないことである。
高値のあとを追いかければ、
おそらく高値で株を買うことになってしまう。
そこから一五パーセント下げれば、
当然自分の持ち株も平均して一五パーセントくらいは
値を消してしまう。
いわゆる短期勝負をしたり、
あるいは、証券会社のセールスマンにすすめられて
株を買う人はどうしてもよく動く株に手を出すことになるから、
高値づかみをしてしまう。
そういう人でも、過去においてうんと儲けておれば、
儲けの一部が吹っ飛んだくらいのことですむが、
たとえ過去に儲けがあったとしても、
いっぺんに払ったお金が減ると、
損をしたという気分を拭えない。
実際には、そういう人の株の売買は激しいから、
証券会社に手数料を気前よく払ってはいるが、
そんなにお金が儲かっていないことが多い。
それが大暴落で持ち株が下がれば、
暴落の痛手はかなり大きなものになるはずである。
その点、堅実な株をやっている人は
高値づかみさえしていなければ、
そんなに恐ろしい目にはあわない。
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