第76回
「月に百万円使える」が中金持ちの目安
もちろんそれだけの収入のある人は、
たいてい既に自分の持ち家があるから家賃の持ち出しはないし、
株の配当とか、債券の利息とか、
総合所得税の対象にならないような
別途収入があるのが普通である。
これだけの収入があれば、
中金持ちの仲間に入れてもおかしくはない。
もっとも、まだこのレベルに達していない人でも
「自分はミドルだ」という意識を持った日本人が
全体の90パーセントにも達している。
反対に月収百万円を超えていても、
まだまだ自分は金持ちの部類には
入らないと思い込んでいる人もある。
人によって考えも違うし、満足の度合いも違うけれど、
一応の基準になっている百万円は
いつまでも動かない金額ではない。
貨幣価値が変わりGNPのレベルが変われば、
時代と共に書き直しを要求される。
三十数年前に私は月収三十万円を
快適な生活の基準にしたことがあったが、
国民所得が年々上昇して、とうとう百万円になってしまった。
百万円に引き上げてから既に十数年たってしまったから、
本当ならそろそろ引き上げてもよい時期に来ているのだが、
バブルが消えて景気が冷えこみ、
株価も地価も値下がりして、
賃上げ闘争どころの騒ぎではなくなってしまった。
倒産も増えていることだし、
社長や中堅幹部がクビにならないだけでもいい方だから、
ここ当分は商品の値づけと同じく、
「使えるお金で月に百万円」に据え置くよりほかないだろう。
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