“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第4回
プロの料理の限界

プロはボランティアで料理を作っているのではなく、
商売としてお客に料理を提供して対価を得ている。
それ故、店主がどんなに
美味しい料理を安くお客に提供しよう
という心意気を持っていても、
利益をあげないと店を維持することはできない。
専門料理店では食材の仕入れ値段は、
お客に提供する価格の三分の一くらいに設定していることが多い。
この割合を原価率という。
料理の腕と雰囲気、サービスが
残りの三分の二の付加価値になって、
お客の満足度を高めるわけである。

店側の収支としては、
原材料費以外の三分の二が純利益になるかというと、
そうではない。
経営者自身も含めて店員の給料をそこから出さないといけないし、
店舗の借り賃、光熱費、清掃、メンテナンス、食器の更新などの
維持費も必要だ。
健全な経営状態にするには
原価率をある程度低く抑えないとならないので、
原価率は三分の一程度となる。
お客から見ると、「安くて旨い店」は理想だが、
それでは店の経営が成り立たないことになる。
無駄をはぶいたり、食材の仕入れなどに工夫をしたりして、
できるだけ客単価を下げる努力は必要であるが、
それでも安く美味しいものを出すことには限りがある。

もし、素人が商売を抜きにして自前で振舞うことにすれば、
同じ予算では専門料理店の3倍の値段の
いい食材を仕入れることができる。
美味しさの原点は食材のよさであり、
しかも、いい食材は単純な調理が適切だから、
素人の料理でも美味しいものが作れるのだ。
つまり、素人でも、
ある程度の調理技術と食材の知識を持っていれば、
プロの味を凌駕することが可能なわけだ。
最高級の肉を買ってきて、
単純に炭火で焼いてステーキで食したり、
天然の旬の魚をちょっと仕事していただく。
そこには、プロを超える味が存在する。


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