“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第16回
普段使いにもいい調味料

最近はいい調味料が入手し易くなって嬉しいかぎりだ。
我が家で最近使っているものを紹介しよう。

醤油は川越の松本醤油商店(※)の「初雁しょうゆ」を一番よく使う。
この醤油は昔ながらの手造りの製法で
木桶に二年間も自然のままに熟成発酵させたもので、
出すぎた味がなく、雑味が少なくて、どの食材にも実によく合う。
刺身を受けるにもよく、熱を通してもいい。
適度な深みのある風味が食材の美味しさを引き出してくれる。

蕎麦の辛汁に使う本返しにも初雁しょうゆを使っている。
これに、愛知の九重桜の味醂を3対1で合わせて、
火を通して1週間程度おく。
味醂は福味醂、三河味醂、福来純などもいいが、
九重桜は雑味が少ない。
蕎麦の辛汁は、この本返しを昆布と鰹の出汁でのばすが、
昆布は羅臼昆布を使う。
羅臼の等級の付いた極上品は
1キログラムあたり1万円以上するので、端切れを仕入れている。
羅臼昆布の端切れは築地の場外市場の昆布屋などで売っていて、
百グラムが五百円程度と格安で買える。
見場はあまり良くないが、出汁を取るには全く問題ない。

鰹節は枕崎の「丸久」から本枯節を取り寄せて、
調理をするたびに削っている。
ここの鰹節は四段階で黴付けを行い、
脱水しながら旨みを凝縮していく、
という手間隙かかる伝統的な製法を頑なに守っており、
製作には半年間かかる。
丸久の本枯節でとった出汁は臭みが無く、
上品で深みのある旨みがえられる。

塩は大島の海の精を基本にして、
食材、調理法に応じて、内外の色々な塩を使い分けている。
例外もあるが、海の素材には海の塩、
山の素材には岩塩が合いやすい。
酢は雑賀酒造の常盤を用いているが、
千枚漬けを漬けると柔らかな甘みがとてもいい。

(※) 松本醤油商店 http://www.kawagoe.com/matsumoto/


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