“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第58回
名店の味は素人にも参考になる

いい店で美味しい味にであい、
そのわけを教えてもらえたときは、本当に得した気分になる。
旬の特別な産地の食材、
特別な調理技術、伝統食文化との関係など、
色々な店で、色々な知識を教えてもらった。

しかし、客側から聞くタイミングは難しい。
仕事中の職人に話しかけるのは集中を切らすことになる。
職人側から話しかけてきたときは別だが、
客は職人が仕事を一息ついたことを見て
話かける配慮が必要だ。
たたみかけるように質問をしている客がたまにあるが、
仕事の邪魔をしていると同時に、
他の客からみても見苦しいものだ。

仕事の合間に話しかけるのも結構難しいことが多い。
そういうときには、「美味しいですね」とか、
誉め言葉をかけて、
とりあえず話すきっかけを探る程度が無難な策だ。
職人のほうから色々と話し始めたら、それを謙虚に聞こう。
客のほうから中途半端な知識をひけらかすのは
やめたほうがいい。

魚介類については、鮨屋に月に一度程度通えば
旬のものを実践で覚えることができる。
旬が日本列島を北から南まで動いている実感も得られる。
また、仕込み方法、調理法などで
一般的な料理本には書いていない裏技を
教えてもらえることも多い。

居酒屋では日本酒や酒肴について、
ワインバーではワインやチーズ、
ショットバーではシングルモルト、ブランデー、カクテルなど
カウンター席で専門知識を得る機会はよくある。
店側と話が盛り上がるのは大変心地よい。

しかし、度をこすとこはご法度だ。
ここの限界を把握することが粋な客になる最低条件である。
基本は他の客に嫌な思いをさせないという配慮である。
プロから食に対する知識を得るには、
謙虚になって教わる心を持ち、
他の客の迷惑にならないように
限度をわきまえることが重要だ。


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