“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第60回
焼酎ブームの終焉

多くの焼酎蔵で生産量を増やすと何が起こるか?
それは、原料不足である。
いま一番のブームとなっている芋焼酎の原料は
黄金千貫という甘藷(サツマイモ)が適しているが、
この生産量が限られている。
すると、冷凍した黄金千貫も使い始める。
冷凍芋を解凍して醸造しようとしても、
芯の部分はまだ凍っていることもあり、
焼酎は水っぽくなってくる。
また、生産量を増やせば
当然造りはそれまでよりも雑になる。
雑味を消す処理をすれば味は淡くなり、
旨みが少なくアルコールが立つようになってくる。

もちろん、増量せずに、
手造りでできることをきちっと守って
増量などはしていない真面目な焼酎蔵もまだまだある。
しかし、これまでは
普通に九州の地元主体で消費されていた焼酎が
本州でプレミアム価格で売られているのは
異常としか思われない。
それでは、何故焼酎がブームとなったのであろうか?
これは日本酒の品質の低下が一つのきっかけとはなっている。
戦後の糖類添加の三増酒にはじまり、
いまでは大手の大量生産の効率重視の新技術である
「白糠糖化液仕込み」「液化仕込み」などの製法は、
酒質を薄っぺらなものにしている。

また、地酒ブームで有名となった蔵も
増量を重ねているところが多く、
幻の酒と呼ばれながら大手の生産量に匹敵する蔵も多い。
当然、そのような蔵の酒はうすっぺらだ。
これでは日本酒ファンは大手に裏切られ、
有名地酒蔵にも裏切られ焼酎へと逃げ出したわけだ。
一部の小さい日本酒の蔵元は
大変真面目に酒造りに取り組んでいて人気が高い。
日本酒復活のキーワードがそこにあり、
焼酎は昔の日本酒の地酒ブームの道をたどっている。

酒の小売店、料飲店はそろそろ、
焼酎から日本酒に戻る準備をしておかないと、
世の中に遅れをとることになりかねない。


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