“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第72回
真鴨を出雲で堪能

今回の旅行は、
執筆中の日本酒についての単行本のための取材が目的で、
しっかりとした地酒を造っている蔵元さんを巡っている。
結婚25周年記念も兼ねて、夫婦二人きりの旅となった。
出雲市の繁華街の中にある旭日酒造さんを訪問したあとで、
山陰線で三駅ほど離れた宍道駅近くの八雲本陣に泊まる。

八雲本陣は敷地面積1,200坪、建坪800坪という広大な屋敷で、
藩主の松平不昧公も宿泊したことがあるという歴史的な建物だ。
これが、由緒正しすぎてトイレは部屋にはなく、
しかも共同トイレの大半は和式、
風呂は小さい家族風呂のみと、妻には不評。

ところが、夕食に家伝の鴨すきが提供されると
妻は笑顔に戻った。
天然の真鴨、それも最高の素材のすき焼き。
使う鍋はマダカ鮑の大きな貝殻。
ここに、出汁を入れて、
まずは、鴨のミンチと肝を入れて煮る。
その後、大根、春菊などの野菜を敷いて、豆腐をその上に。
そこに醤油と砂糖で味をつける。
その汁に鴨肉をしゃぶしゃぶのように、
火を通しすぎないように煮て、生卵で食べる。

天然の鴨は癖のあることが多いが、
今回の鴨はきれいな味わいで、
旨みも溢れていて、秀逸だった。
また、硬すぎず、柔らかすぎず、食感がもちっとしていて、
口のなかで噛むほどに旨さが広がってくる。
この噛みごたえに応じて味わいが溶けでる感じが、
鴨を味わううえで、一番好きなところだ。

鴨も何を食べているかで、その味は大きく違うらしい。
青森県の沼で泥鰌(どじょう)を食べて育つ鴨も美味しいが、
出雲の鴨も極上であった。
ご飯を入れておじやにすると旨そうだが、
貝殻が希少なもので、
焦げ目をつけると怒られそうだったので断念。
かわりに、ご飯の上に
すき焼きで使った汁をぶっかけて食べたが、
これがまた美味。
取材が忙しくて観光をする暇は無かったが
美味しい出雲の旅だった。


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