“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第78回
美味しさは料理以外の要素も大きい

美味しさの最終評価は味覚情報だけではない。
周囲の環境や自分の体調、気分に大きく作用される。
魯山人は無礼な記者から
「美味しいものを食べる簡単な方法は?」
と聞かれて、
「腹をすかせればいい」
と答えたそうだ。

その日の夜に飲み会があるときには、
できるだけ水を飲むのを我慢していると、
最初の一杯がとても美味しい。
喉の渇きを我慢するのは健康を損ねる恐れがあるが、
夜の会食に備えて、昼食は工夫したい。
質素なものにする、あるいは、脂っぽい料理は控えるなど、
万全の体調となるような配慮が必要だ。

環境についてはどうかというと、
いい雰囲気、いいサービス、
素敵なインテリア、エキステリアの店は
料理をより美味しくさせる。
しかし、インテリア、エキステリアだけでお客を釣って、
肝心の料理が駄目な店も数多い。
消費者は気をつけなければならない。
逆にインテリアが質素だが、
料理の美味しさだけで十分満足できる店もある。

雰囲気のいい店以前に、
料理が美味しいことは必須だが、
ともに優れている店は少ない。
環境と料理がともにいい店の最高峰は徳島県の山奥にある。
ここでは、自然の恵みの食材を
自然のなかで食べる幸せに浸れる。
吉兆で修行されたご主人は、独自の境地を開拓している。
山の中に入り、山菜、茸などを積み、
川に入っては天然鰻、その他の川魚を獲ってくる。
その食材を、一人で手間隙かけて調理する。

この店は本当は季節ごとに訪れて、
食材の移り変わりを愉しみたい。
しかし、大学に勤める身では
年に1、2回しか行けないのが実情だ。
しかし、ご主人は私が行ったときのお品書きは
全て記録していて、
訪問するたびに違った味を提供してくれる。
この店はこれまでにサライで一度紹介されたくらいで、
ほとんど露出したことは無い。
この店の名前は明かせられないが、
徳島市から車で40分かけて行く場所にあることだけを
ヒントに記したい。


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