“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第80回
蝦夷鹿の旨さ

ジビエの季節になったが、
先日は六本木に移転したばかりのトレフミヤモト
素晴しい蝦夷鹿を堪能した。
シンプルだがシックな店内は居心地いい。

まず、綺麗に10種類のアミューズが
四角い皿に並べられて提供される。
一口スプーンのラトタイユ、秋刀魚の焼き〆マリネ、
鶏のソーセージ、イベリコ豚の生ハム、
穴子のバルサミコソース、ホタテのスモーク、
鴨燻製、蝦夷鹿のパテ、田舎風パテ。

いずれも上品で繊細な味付け。
食べるほどに、食欲が増してくる。
次が、おまかせの前菜3種。
まず、トマトとズワイ蟹の天道虫仕立て、
赤ピーマンとブロッコリーのソース。
とても綺麗なプリゼンテーションで、
天道虫の模様はオリーブでつけられている。

次が、フォワグラとトリュフのクロケット。
揚げたてのコロッケの中に
フォワグラとトリュフが熱々につまっていて、
噛むと汁がじゅっと溢れてくる。
鰯と各種野菜のバートフィロ包み白ワインソース。
これは春巻きのような形態で、
パリッとした包みを破ると、鰯の野菜の味わいが広がる。

最後にメインで蝦夷鹿のソテ。
背から尻にかけての肉。
骨と内臓でとったソースがさっぱりとした味で、
鹿肉の旨みを引き出している。
焼き加減も絶妙。
骨の脇の脂がぷりっと甘みを出している。

蝦夷鹿は昔は乱獲で絶滅の危機にあったのが、
保護施策で最近はかえって増えすぎているらしい。
北海道は平成9年には50億円以上の被害にあったそうだ。
そのため、年間に数万頭が捕獲されている。
鹿や猪などのジビエも、
ハンターの腕によって旨さが全然違う。
即死させて、その場で血を抜き、
内臓をすぐに摘出する処置によって、
肉に臭みが残らず、最高のジビエとなる。

宮本雅彦さんの料理は
最高の鹿肉の旨みを見事に引き出していた。
アミューズ、前菜、メインと盛り上がった夜は、
とても満足度の高いものであった。


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