“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第83回
刺身蒟蒻

市販の蒟蒻は臭みがあるものが多い。
これは、蒟蒻芋の成分であるトリメチルアミンのせいらしい。
しかし、茨城県の大子(だいご)で
手造りされている生蒟蒻は、
生臭さが全くしないのが不思議だ。

大子を初め、久慈川の上流である奥久慈地方は、
風光明媚で蕎麦の名産地として有名だが、
他にも奥久慈軍鶏、野菜、果物、鮎などの美食の宝庫だ。
奥久慈軍鶏は銀座「バードランド」の和田さんが
阿佐ヶ谷で焼き鳥屋を開店するにあたって、
故郷の茨城県産の健康で美味しい地鶏として
仕入れ始めたことから知ったが、
最近ではすっかり有名になった。
自然のなかの広い農場での放し飼いしているところを見れば、
脂の少ない旨みが凝縮した肉が得られることが納得する。

この奥久慈で何故蒟蒻が栽培されているかというと、
もとは徳川光圀が命じたことに端を発するらしい。
明から日本に亡命してきて、
水戸藩に居た朱舜水に中国から種玉を入れさせ、
久慈川の上流の山間で育てさせた。
その後中島藤ヱ門らによって技術改良が行われ、
蒟蒻粉の開発に成功。
その偉業によって大子には蒟蒻神社が建立され、
中島藤ヱ門が祭られている。

このように歴史のある奥久慈の蒟蒻も
色々な種類が売られている。
私がよく仕入れるのは、
「JA茨城みどり、大子店」で扱っている、
生産者の名前が記している生蒟蒻だ。
何故知ったかというと、
昔大子で蕎麦栽培を始めたときに、
鉾田の蕎麦の名店である
村屋東亭の渡辺維新さんに栽培方法を教わったが、
渡辺さんに、
この生蒟蒻は絶品だと勧められたことがきっかけだ。

確かに、生臭さが全く無く、繊細な旨みも持っている。
刺身として、ちょっと厚めに、しかも大きめに切って、
口全体でほおばって、ぷりっとした食感を愉しむのがいい。

昔は大子まで車で往復して蒟蒻を買ってきたが、
最近は電話とFAXで取り寄せられることがわかり、
定番の取り寄せ品となった。


←前回記事へ 2004年12月1日(水) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ