“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第84回
山伏茸

数年前から不思議な形の茸が出回るようになってきた。
白い毛むくじゃらの玉の形をしている。
山伏の衣装の篠懸衣(すずかけごろも)の胸についている
丸い飾りに似ているので、山伏茸と呼ぶ。

サンゴハリタケ科の茸で、
クヌギ、クルミ、シイなどの
広葉樹の樹幹や切り株に着生するらしい。
しかし、天然のものは滅多に見られない希少なもの。
もともとは中国で薬膳の珍味、
特に不老長寿の薬として珍重されてきたようだ。
中国名はホウトウクというようで、
これは手長猿の頭の形をした茸という意味だそうだ。

最近ではみのもんたのテレビなどでも
痴呆や脳梗塞に効くと紹介されて、人気が高まりつつある。
健康食品として乾燥したものや、粉にしたものも売られている。

この山伏茸が日本でも栽培されて、
ちょっと気のきいたスーパーなどでも
売られるようになってきた。
山伏茸は上品で淡白な味わい。
癖が全然無いのでどんな料理にでも美味しく食べられる。
最初に食べたのは軽井沢の友人の別荘であり、
バーベキューの具として美味しくいただいた。
熱々の山伏茸は香り豊かで繊細な甘みがあり、
こんな旨い茸があったんだ、
とびっくりした思い出がある。

鍋にも向く。
それも、相手の食材を選ばない。
鱈、鮟鱇、鴨、蟹、なんでも合う。
鍋に入れると、白い髭の部分に汁が絡みつくので、
出汁の旨みがこぼれんばかりに、口いっぱいに広がる。
それに、山伏茸の本来の旨みが相乗りする。
山伏茸自身もいい出汁を出すので、
椀もの、味噌汁などにもいい。

また、水で煮詰めておいて、
それをお茶代わりに飲むのもいいし、
シチューなどの煮込み料理に使っても美味しい。

この奇妙な形の茸を最初に食べた人は、
勇気がとてもあったと思うが、
その人に感謝してあまりある旨さだ。


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