“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第88回
絶賛、厚岸の牡蠣

「開」の厚岸の牡蠣はやはり特別。
厚岸でも一番の牡蠣漁師から直送してもらっていて、
これと同じものは通常は入手できない。
まずは、生牡蠣はサロマ湖のものと厚岸の両方を試してみる。

サロマ湖の牡蠣も美味。
牡蠣独特の癖が少なく、最初の味がすきっとしていて、
あとから海の風味が口の中に広がってくる。
これに対して、厚岸の牡蠣は最初から味が濃い。
口に含んだときに、
牡蠣の表面についている汁に風味が乗っていて、
噛むとさらにコクのある味わいがにじみでる。

生牡蠣以外は厚岸だけを注文。
焼き牡蠣は、牡蠣の癖を押さえ、旨みだけが楽しめる。
焼いたことによって、旨みがさらに凝縮されて、
噛むと滲んでくる汁の味わいは天にも昇るよう。
ふうふういって食べ、黒帯の燗を口に含み、
さらに牡蠣を口に入れて口のなかでマリアージュを楽しむ。

黒帯は石川県の福光屋の蔵人が提案したブランドで、
純米酒は燗あがりのするいい酒だ。
同じ福光屋でも加賀鳶、福正宗はやや平板だが、
黒帯は厚みが感じられて好きだ。
牡蠣とアイヌ葱の玉子とじも秀逸。
出汁と玉子が牡蠣とアイヌ葱をとりもって、
美味しさのハーモニーをかもし出す。
牡蠣グラタンがまた素晴しい。
牡蠣とチーズの旨みが溶け合っている。
熱々の牡蠣をグラタン地にからめて、黒牛と合わせる。
黒牛は和歌山の地酒だが、骨太で燗あがりがする。

かなり、お腹がいっぱいにはなってきたが、
最後に牡蠣ご飯と牡蠣蕎麦を注文。
牡蠣ご飯は牡蠣が炊き込まれていて、ご飯が美味しい。
牡蠣蕎麦は温かい種物で、
牡蠣が甘汁のなかに浮いていて、いい出汁をだしている。
牡蠣以外にも色々食べていて、
もう食べられないかと思っていたら、
食事まで入ってしまった。
腹いっぱいではあるけれど、何か身体は軽く、心地よい。
不思議な牡蠣体験だった。


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