“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第101回
蕎麦栽培の蕎麦は格別な味

今年の蕎麦栽培も完了し、
打ち上げを栃木県西那須野にある
個性的な蕎麦屋「胡桃亭」で行った。
胡桃亭のご主人である村上秀幸さんとは、
私が栃木の自動車メーカーの
研究所に勤務していたころに、懇意になった。
岐阜の蕎麦の名店「胡蝶庵」の仙波さんは兄弟子にあたり、
仙波さんと同じように
超粗挽き蕎麦の生粉打ちにこだわっている。

素人集団が蕎麦栽培を行うときに、
一番困るのが玄蕎麦の皮剥きと製粉。
玄蕎麦は固い黒い皮で覆われた三角形の実で、
これを皮剥きしたものを丸抜きと呼ぶ。
丸抜きを石臼で製粉して蕎麦粉になるわけだ。
玄蕎麦のまま石臼で挽いて
黒っぽい田舎蕎麦にする選択肢もある。
しかし、蕎麦の皮は従来消化されないものなので、
その成分が蕎麦に入っていることは抵抗があるし、
ざらついた食感が好きではない。
もっとも、島田の藪蕎麦宮本のように、
玄蕎麦をそのまま手挽き石臼で製粉して、
それを丁寧に篩(ふるい)にかけて、
皮を除去するという手間隙かければ、
美味しい田舎蕎麦になるのだが。

我々の北関東蕎麦栽培会では、
皮剥き、製粉はある農協に依頼している。
ただし、この農協は通常は
業者向けに皮剥きと製粉を行っているので、
そちらが忙しいときには
素人の少量の皮剥き、製粉は断られることがある。
今年は特に北海道産蕎麦粉が不作であったこともあって、
この農協は大忙し。
我々の蕎麦は断られそうになったが、
幹事がなんとかお願いして
作業をやってもらうことができた。

私は粉ではなく丸抜きの状態でもらい、
大学に設置している実験用の電動石臼で製粉して、
それを年越し蕎麦用に打つ。
除夜の鐘を聞きながら食べる蕎麦は、
2ヵ月半つづけた栽培作業が思い起こされ、
格別な味がする。
村上さんが打ってくれた蕎麦ももちろん最高だった。


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