“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第106回
聖護院蕪の美味

冬の時季は蕪が旨くなる。
特に、聖護院蕪は上品な甘みがあり、
どんな料理に使っても美味しい。
今年も、京都の錦市場にある京野菜専門店の「かね松」から
聖護院蕪を取り寄せた。
以前は電話かFAXで注文していたのが、
楽天に出店するようになり、便利になった。

ネットショップに出展しても、
品質は落ちていないのが嬉しい。
まずは、千枚漬を仕込んだ。
以前にも千枚漬の作り方は簡単に紹介しているが、
今回はより詳しく解説しよう。
千枚漬も色々な漬けかたがあるようで、
私も試行錯誤しているが、
今回は以下のようなやり方を採用した。

まず蕪を薄く輪切りにしたものを漬物用の陶器に敷き詰めて、
塩水を浸し、重石を乗せる下漬けを行う。
この塩漬けの方法は、
蕪を敷き詰めてから上に塩を振っていくやりかたもあるが、
手間がかなりかかるので、手軽な塩水による方法を採用。
蕪を薄く切るのは、
これも錦市場の「有次」で昨年に購入した、
千枚漬用の鉋が効果を発揮。
厚みがばらつくと、漬かり方が揃わなくなる。
包丁では、なかなか厚みを一定に切るのが難しいが、
鉋だと楽に安定した厚みのものが量産できる。
これまで苦労して包丁で切っていたのが、嘘のようだ。
家庭で普通の小さい蕪で千枚漬を漬けるなら、
鰹節用の鉋も使えるかも知れない。
聖護院蕪となると、直径が20cmはあるので、
千枚漬用の専門の鉋でないと幅が足りない。

塩漬けを24時間してから、
アルミバットに昆布を敷き詰めて、蕪を並べていく。
上に味醂と酢をかけ、柚子皮をちらす。
その上にまた昆布を敷いて、
蕪を並べというように何十にもしていく。
冷暗所に放置して、三日程度でとても美味しい千枚漬となる。

で、この聖護院蕪だが、生で食べても美味しい。
サラダなどに使える。
さらに、おろしにすると、
大根とは味も食感も違った和え物も可能だ。
今回はイクラの蕪おろし和えを作ってみた。
イクラの旨みを蕪おろしの甘さが引き出す。
イクラのプチっとした食感を、
蕪おろしのふわっとした甘みが包み込んで、
優しさの感じられるイクラの蕪おろし和えが完成した。

合わした酒は、秋鹿「嘉村壱号田」2002年。
このラベルの下絵を私が描いて、秋鹿酒造に毎年提供している。
昨年描いたのは、能勢の美しい段々畑の景色。
中身は嘉村壱号田という田圃で、
秋鹿の奥常務が自ら無農薬栽培した山田錦を
50%まで、磨いて、醸した純米酒の無濾過生原酒。
谷淵杜氏の気合も入った逸品。
いくらの蕪おろし和えにとてもよく合った。


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